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定住意識のカギは「生活・雇用・支援」の連動
地方に目を向けると、鳥取県の順位上昇が注目されます。前年30位から今年は10位へと20ランクアップし、全国の中でも最大の伸びを示しました。鳥取県における在留外国人は5,864人と全国で最少ですが、多文化共生センターの整備や外国人インターン受け入れの取り組みが評価されました。特に、IT企業や農業分野において、地域に根ざした外国人の活躍の場が徐々に拡大しています。行政による支援や住民との接点が多く、外国人が孤立しにくい環境であることも、居住意欲を高めている要因といえそうです。
熊本県でも、前年21位から14位へと順位を上げました。外国人の数自体は27,407人と全国では中位ですが、台湾の半導体大手TSMCの進出とその関連企業による求人増加が追い風になっています。専門性を持つ外国人が「仕事も暮らしも確保できる」場所として選ぶようになってきた兆しが見られます。
一方、島根県・高知県・徳島県は、前年に続きランキングの下位3位にとどまりました。在留外国人の数が少ないことに加え、求人自体が限定的であることが背景にあると考えられます。仕事の選択肢が乏しければ、定住意欲を維持するのは難しく、転出や都市部への移動につながってしまう傾向が見て取れます。
また、統計からは、大学のある地域に外国人留学生が集中し、そのまま地元に定着する傾向が続いていることも分かります。東京都(122,000人)、大阪府(29,456人)、京都府(18,630人)など、教育機関が充実した都市ほど「学ぶ→働く→住む」という流れが自然に形成されています。
ランキング結果から浮かび上がるのは、外国人が「住みたい」と思う要因が、都市の大きさや求人の数だけでなく、行政支援・生活インフラ・地域とのつながりといった「総合力」によって左右されているということです。出入国在留管理庁の統計が示すように、外国人は今後も増加傾向を続けると考えられます。今後、各自治体は単に外国人を「受け入れる」だけでなく、「ともに暮らす」ための制度と意識の両立が求められるでしょう。
[参考資料]
出入国在留管理庁『令和6年6月末現在における在留外国人数について』