(※写真はイメージです/PIXTA)
世帯年収1,300万円、突然の崩壊
都内の中堅メーカーで課長職を務める佐藤健太郎さん(48歳・仮名)。年収は800万円ほどで、40代後半の大卒正社員の平均を少し上回る水準です。さらに正社員として働く妻・真由美さん(46歳・仮名)の年収は500万円ほどで、世帯年収は1,300万円を超えます。住まいは職場へのアクセスを優先し、駅徒歩すぐのタワーマンションを30年のペアローンで購入。傍目には余裕があるように見えますが――。
【年齢別・大卒サラリーマン(正社員)の平均年収】
20~24歳:3,692,800円
25~29歳:4,888,800円
30~34歳:5,744,900円
35~39歳:6,703,600円
40~44歳:7,347,200円
45~49歳:8,224,900円
50~54歳:8,687,800円
55~59歳:9,270,800円
60~64歳:7,219,900円
※出所:厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』
「余裕はそこまでありません。負担が大きいのはローン返済と教育費ですね。息子は小学校から塾に通い、今は私立の中高一貫校です。学費に年間150万円近くもかかります。妻の収入がなければ維持は難しいです」
しかし、現実は残酷でした。真由美さんの職場では近年、評価制度が大幅に変わり、成果へのプレッシャーが激増。
さらに更年期障害による体調不良と、遠方に住む実母の介護問題が重なり、真由美さんは「仕事・家事・介護」のトリプルパンチで心身ともに限界を迎えていたのです。「もう無理、会社辞めたい」と涙を流す妻を前に、健太郎さんはかける言葉が見つかりませんでした。
「情けない話ですが、最初に頭に浮かんだのは妻への労りではなく、『住宅ローンはどうするんだ?』『息子の学費は』という、お金のことばかり。今の我が家は夫婦共働きを前提に成り立っています。妻が仕事を辞めれば、私の給料だけでは毎月赤字になるのは確実。貯金を取り崩しても、数年で底を突くのは明白でした」
健太郎さんは、必死に妻を引き留めようと「パートならどうか」「休職はできないか」と提案しましたが、真由美さんは「もう無理」と繰り返すばかり。
「今の生活は、二人の給料が合わさって初めて成り立つようにできています。正直、『辞めないでくれ』と言いかけました。でも、泣いている妻を見てそんなことを言えるわけがない。うちはいつの間にか、二人でフル回転して稼ぎ続けないと即パンクする、余裕なんてまったくない状態だったんだと思い知らされました」
健太郎さんは、今の生活水準を維持することが不可能であることを悟り、膨れ上がった固定費をどう削ればいいのか具体的な解決策が見つからないまま、妻の退職の日が迫っているといいます。