(※写真はイメージです/PIXTA)
「ごめん、行けない」…電話を握りしめ、涙
後日、招待状が届きました。家族はゲストを迎える側だから招待状は不要と言われていますが、昨今の結婚式では家族にも送るケースが多いそう。
招待状の返信ハガキを前に、大輔さんの苦悩の日々が始まりました。消費者金融の広告が目に入るたび、「一時的に借りてしまおうか」という考えが頭をよぎります。しかし、ただでさえ厳しい生活に、これ以上の負債を抱える恐怖が彼を押しとどめました。
祝福したい気持ちはある
現実問題、お金がない
情けない兄だと思われたくない
さまざまな気持ちが交錯。何日も悩み抜いた末、大輔さんは決断をします。
「本当に申し訳ないんだけど、どうしても外せない用事と重なってしまって。たぶん、出席できそうにないんだ」
弟の結婚式当日、たまたま外せない用事……苦しい言い訳であることは明らかでした。「……そっか。仕事、そんなに大変なのか。残念だけど、仕方ないよな」。明らかに落胆しているのが分かる声でした。そして健太さんはそれ以上、何も追及しませんでした。
「情けない……」
通話が切れると、その場に崩れ落ちるように床に手を着いた大輔さん。スマートフォンを握りしめたまま、悲痛な声が響きました。
[参考資料]
厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)』