【第5回】「美容外科医です、とは言えなかった」…かつての偏見と、SNS時代の新たな“病理”(全10回)

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聖心美容クリニック
【第5回】「美容外科医です、とは言えなかった」…かつての偏見と、SNS時代の新たな“病理”(全10回)
※(画像はイメージです/PIXTA)

社会的な偏見を乗り越え、オープンな選択肢となった美容医療。しかしその裏では、SNSの普及とともに「偽りの成功例」をアピールするモラルを欠いたドクターが蔓延るなど、新たな“病理”が深刻化しています。本稿では、聖心美容クリニック統括院長の鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、業界の健全化に不可欠な「信頼」の本質に迫ります。

「患者様ファースト」を忘れた、組織ぐるみのモラルハザード

また、ドクターでもないスタッフ、つまり無資格者がカウンセリングを担当し、治療法を決めてしまうクリニックが存在し、問題視されてもいます。カウンセリングを人任せにして治療するドクターがいることに私は驚きを隠せませんが、これでは患者様との信頼関係を築くも何もあったものではありません。このようなクリニックでは、美容医療の現場が極端にビジネス化して、スタッフは治療方針の決定に専念し、医師は治療に専念するという役割分担が運用方法として決められているのです。

 

コロナ禍以降オンライン診療が急速に拡大していることも美容医療に大きな影響を与えています。不思議なのは、患者様がわざわざご来院くださっているにもかかわらず、なぜかオンラインで診察するクリニックが存在することです。対面で診察やカウンセリングができるはずなのに、どうしてオンラインで診察するのか理解に苦しみます。

 

これは推測ですが、これもおそらく効率化を考えて、担当医師は実は別のクリニックで仕事をしていて、あたかもそのクリニックでカウンセリングしたことにしているのではないかと思います。“患者様ファースト”で考えれば、やっていいことといけないことの判断くらいできるはずなのですが、これも医師が単独の判断で行っているのではなく、従事しているクリニックの経営全体の判断で行っている可能性が高いです。個人というより組織のモラルの問題であるともいえます。

 

美容医療へのハードルが下がり、偏見も少なくなり、ようやく美容医療が世の中や患者様に信頼される時代になりつつあるというのに、患者様を騙してでも収益を上げようとするクリニックがあるという現実が浮き彫りになってきています。患者様ファーストの美容医療とは何か、私たちはもう一度自分たちの足元を見つめ直し、美容業界全体の健全化をさらに進める必要があると思っています。

 

 

鎌倉 達郎
聖心美容クリニック
統括院長

 

 

※本連載は、鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

鎌倉 達郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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