【第1回】「an・an」からSNSへ。美容クリニック、情報発信の変遷と「信頼される」ための条件(全10回)

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聖心美容クリニック
【第1回】「an・an」からSNSへ。美容クリニック、情報発信の変遷と「信頼される」ための条件(全10回)
※(画像はイメージです/PIXTA)

ビジネスにおける情報発信とマーケティングは、この30年のあいだに劇的に姿を変えました。その縮図ともいえるのが、美容医療の世界です。女性誌での広告が主流だった時代から、ホームページのSEO対策やSNS、生成AIの活用が必要とされる現在に至るまで、情報戦略はどのように進化してきたのでしょうか。本稿では、聖心美容クリニック統括院長の鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、その変遷と、これからの時代に「選ばれる」ための情報発信の本質に迫ります。

インターネットの普及とともに広まった美容医療

状況が変化してきたのは、インターネットが一般に普及し始めたころからです。1990年代終盤になると、ホームページを開設するクリニックが少しずつ出てきました。紙媒体も一般的でしたがインターネットのほうが情報を速く多く伝えられることに気づいたクリニックは、いち早くホームページを立ち上げて情報発信を開始しました。

 

2000年を越えるあたりになるとホームページを持つことは当たり前になり、この頃には美容医療をお考えのネットユーザーに、いかに効果的にクリニック名を覚えていただくかがテーマになっていました。各クリニックは専門業者に依頼してSEO対策(検索上位に表示されるための対策)やリスティング広告などを駆使しながら、患者様にリーチする方法を探っていくことになります。ここでもアピールされたのはドクターの個人名よりはクリニック名でした。

 

私が聖心美容クリニックに入職したのは2000年で、当時のクリニック経営者がホームページ制作や運営を積極的に行っていました。その経営者との会話で気づいたのは、インターネットのいちばんのメリットは、患者様へお伝えできる情報量の多さだということです。

 

紙の広告や看板では、一度に伝えられる情報は限られてしまいます。もちろん、ページ数を多く割けば詳しい情報を盛り込むことができますが、そのぶん、経費も莫大になってしまいます。しかし、ホームページではより細かく多量の情報を入れることができるうえに、内容もクリニック側でコントロールすることができます。より多く、より細かい情報を、比較的安価に提供できるという点で紙媒体と比較してインターネットのほうが優位であることは明らかでした。

 

インターネットを通じた情報発信について、私の考えは少しずつ変化しながら現在に至っています。最初の頃は、とにかく多くの情報を詰め込むことが大事だと考えていました。現在は、適切な情報が必要という点は変わっていませんが、XやインスタグラムなどのSNSとの使い分けをしています。

 

SNSは特に若い層に浸透しているので、効果的に使っていく必要はあると思います。ただ、SNSは一部の情報を切り取り、そこを強調してアピールすることには長けていますが、それでは全体像が見えづらいという面もあります。

 

ですからホームページにはクリニックの概要や理念、施術についての詳細で分かりやすい説明など、基本的な情報を充実させつつ、その中から特に強調したいこと、タイムリーな情報などをSNSで拡散していく、といった手法が有効なのではないかと思っていますし、そこにマーケティングとしての使い方のみならず、いかに信頼される情報を提供していくか?を私たちは考えてきました。

 

また、最近は生成AI向けにコンテンツを最適化するGEO(生成エンジン最適化)なども必要となってきます。信頼される情報をしっかりお届けするということは変わりませんが、時代に合わせて柔軟な対応が必要と考えています。

 

 

鎌倉 達郎
聖心美容クリニック
統括院長

 

 

※本連載は、鎌倉達郎氏の著書『信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

信頼経営 仕事人として、人として何よりも大切なこと

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鎌倉 達郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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