
大学受験に向けて予備校に通いたい高3の息子
都内の高校に通う田中佑都さん(18歳・仮名)は、大学受験を控える高校3年生。志望校は、国内でもトップクラスの私立大学ですが、学校の授業と自学自習では志望校は無理かもしれない――そんな焦りもあり、予備校に通いたいと考えるようになったとか。母・由佳さん(45歳・仮名)に相談すると、「お父さんに話してみなさい」と背中を押されました。
佑都さんの父、健司さん(49歳・仮名)は、大手メーカーで課長を務めるサラリーマン。佑都さんにとって父は、週末は疲れた顔で寝ていることが多く、必要最低限の話しかしません。ただ家の決定権は父親にあるのでしょう。今回のように、母親に「あれがほしい」「これがほしい」と相談すると「お父さんが良いというならね」というのがお決まりのパターン。それに対し、健司さんは大抵買い与えてくれる「頼れる存在」であり、世間的には「子どもに甘い親」と言われる人であることを、佑都さんは何となくわかっているといいます。一方で、親戚の集まりなどで「健司さんは大企業だから安泰だ」「年収だって1,000万円は超えているだろう」といった会話を耳にしたこともあり、息子の自分もどこか誇らしい気持ちでいたといいます。
ある日の夕食後、佑都さんは意を決して健司さんに切り出します。
「お父さん、大学受験のために予備校に通いたいんだ。年間で、100万円くらいかかるんだけど……」
健司さんは一瞬箸を止め、佑都さんの顔をじっと見たあと、「そうか、わかった。ちゃんと頑張るんだぞ」とだけ静かにいいました。あまりにあっさりとした承諾に、佑都さんは拍子抜けすると同時に、「やっぱり、うちのお父さんは高給取りなんだ」と、父への尊敬の念を新たにしたのと同時に、「やっぱり、うちの家計って余裕じゃん」と再認識したといいます。