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「あの家はもう、見ていられない」…親戚が家族の崩壊
「あんなに自慢だった息子さんに、まさか弁護士経由で縁を切られるなんて……。美子さん(仮名・72歳)の落ち込みようは、見ていて痛々しいほどです」
田中美子さんの甥で、50代のYさんはそう語ります。Yさんによると、美子さんのもとにひとり息子の大輔さん(仮名・42歳)から、突如として一通の内容証明郵便が届いたといいます。
「美子さんが震える声で私に電話をかけてきたんです。『大輔から手紙が来たけれど、意味がわからない』と。すぐに駆けつけると、そこには『今後一切の連絡を拒絶する』『私の自宅への立ち入りも禁止する』といった絶縁宣言が書かれていました。もはや普通の親子喧嘩のレベルではありません。法的な手続きを踏んで、完全に他人になろうとしていたのです」
大輔さんは、美子さんの「最高傑作」といっても過言ではありませんでした。
「小さいころから英才教育ですよ。物心つく前から色々と習い事をさせて、お受験で国立の小・中と通って。高校は地元のトップに、そして東京の有名私大。さらには海外留学と、ここら辺の人間には雲の上の人のようなコースですよ。美子さんは『学費だけで2,000万円は軽く超えちゃったわ』と言っていましたね。就職したのも、誰もが知る大企業ですから、美子さんにとって、大輔さんは自分の人生そのものだったはずです」
でも、とYさんは続けます。
「端から見れば、あれは教育ではなく支配ですね。大輔くんが連れてきた彼女の家柄を興信所で調べたり、就職先も当初志望していた会社は『そんな泥船に乗るのか』と猛反対したり。大輔くんは優しい子だから、親の期待に応えようと必死に耐えていたけど、数年前に彼が精神的にバランスを崩して休職しちゃったあたりから、様子がおかしくなりました」
Yさんによると、大輔さんが距離を置きたいと申し出た際、美子さんは「恩知らず」「誰のおかげで今の生活があるの」と激昂したそうです。しかし、絶縁の決定打となったのは、金銭の問題でも現在の干渉でもなく、過去の「ある記憶」の食い違いではないかといいます。
「大輔くん、以前、泣きながら訴えたことがあって。『子どものころ、テストの点が悪かったときに、お母さんは僕を家の外に閉め出して、お前なんかうちの子じゃないと言った。あの時の恐怖が忘れられない』と」
大輔さんのトラウマを耳にした美子さんが返した言葉が、今回の騒動の原因だとYさんはみています。
「美子さん、私にこう言ったんです。『あの子ったら、私が虐待したなんて言うのよ。そんなこと、一度だってした覚えはないわ。あの子の妄想よ』と。美子さんにとってはしつけの一環でも、大輔くんにとっては一生消えない傷になってしまった。今回、引き金になったことは私にはわかりませんが、結局、いつまでも変わらない親に、絶望しちゃったんじゃないかな」
現在、美子さんは「息子は海外赴任で忙しい」と周囲に嘘をつき続けているそうです。