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婚約の前に「見えない契約」を見直す
その後、千尋さんは自分の両親にもすべてを打ち明けました。千尋さんの両親も、「将来を共にする相手の家に、住む場所や生活の仕方を一方的に提示されるだけでは、結婚とはいえないのでは? 本当にプロポーズを受け入れていいのか、もう一度考えてみなさい」とアドバイスされたといいます。
実際、婚約指輪の購入や婚姻届の提出もまだだったため、法的な婚約とはいえない状況でした。千尋さんは、「住宅ローンの契約見直し」と「婚前契約書の作成」を入籍の前提条件とし、それらが実現しなければ「白紙に戻す」という決断も辞さないと伝えることにしました。介護についても「夫婦間でそれぞれの親を看る」ことは事前に確認し合っていたものの、同居となれば当然、翔太さんの親の世話も生活に深く入り込んでくることになります。
「今でも『嫁であれば当たり前』という言い分をよく聞きますよね。でも今は共働きが当たり前の時代。家事の負担も介護の責任も、女性だけが背負うべきではないと強く思います」と、千尋さんは訴えます。
そもそも翔太さんは、こんなにも重要なことをいわずにいたのか――「少し珍しいカタチかもしれないが、持ち家があることは結婚においてメリットだと思っていた。親と同居にはなるけれど、経済的な負担は少ない。喜んでくれると思っていた」というのが言い分。しかし住宅ローンの一件は、翔太さんと千尋さんの価値観のズレが露呈することでもありました。
「これから先も、考え方の違いで悩むことが多くありそう。そんな不安を抱えて、結婚には踏み切れません」
千尋さん、結婚話は白紙の方向で考えているといいます。
[参考資料]
住宅金融支援機構『親子リレー返済』