(※写真はイメージです/PIXTA)

家賃の滞納が起きた場合、オーナーにとっては家賃収入が途絶えてキャッシュフローを悪化させるだけではなく、家賃を回収するため法的手続きに発展する可能性もあるため、不動産投資を行ううえでもっとも避けるべきリスクのひとつとされています。本コラムでは、家賃滞納が起きた時にオーナーがすべきことや、してはならないこと、強制退去の流れ・費用について詳しく解説します。

強制退去の流れ

家賃の滞納が長期間に及び、すでに信頼関係が破壊されているといえる場合には、裁判所に申し立てることで賃借人を強制退去させることが可能です。強制退去に至る主な流れは、次の通りです。

 

  1. 内容証明郵便による「督促状兼契約解除通知書」を送付する
  2. 裁判所に建物明渡請求を申し立てる
  3. 裁判所に強制執行を申し立てる
  4. 執行官による現地確認
  5. 強制執行(強制退去)

 

いずれも自ら手続きを行うことも可能ですが、強制執行手続きには高度な専門知識と経験が求められるため、できる限り弁護士・司法書士に依頼することをおすすめします。

強制退去の費用はどれくらい?誰が負担する?

強制退去に必要な費用は賃料や滞納期間等によって異なります。主な費用項目は次の通りですが、具体的な内訳は状況によって変わるため、弁護士・司法書士に相談して見積もりを出してもらうといいでしょう。

 

強制執行にかかった費用は、賃借人に対して請求することが可能です(民事執行法42条)。ただし弁護士費用の請求はできず、賃貸人の負担となります。

 

もっとも、強制退去に至るほど賃料を滞納している以上、賃借人は生活に困窮している場合が多いため、未払い賃料や手続き費用の全額を回収することは難しいのが実情です。特に賃借人が自己破産をすると、回収は事実上不可能となってしまいます。

 

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