(※写真はイメージです/PIXTA)

土地がどのような用途で利用されているのかは、土地の登記簿上に「地目(ちもく)」として記載されています。また、土地の利用方法が変わった場合や、土地を売却するときなどにも地目変更が必要となることがあります。変更を怠ると過料を科される可能性もあるため、不動産の取引を行う場合には、登記簿上にどう記載されているか確認し、変更の必要があれば適切に対応する必要があります。本コラムでは、地目に関する基本的な知識のほか、地目変更が必要となるパターン、地目の調べ方、地目変更手続きの流れ・必要書類・費用について詳しく解説します。

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地目変更とは

(画像:PIXTA)
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ここでは、地目(ちもく)の意味や種類、地目変更の必要性について詳しく解説します。

 

地目変更とは『登記簿上の土地の用途を変更すること』

地目は、登記事項証明書(登記簿)の表題部に記載される土地の利用区分です。例えば、登記簿に「宅地」と記載されている土地は住宅用の土地であることを示します。

 

地目は実際の土地利用が変わっても勝手には書き換わるわけではなく、所有者(申請人)が法務局へ申請して初めて変更されます。この申請手続きを「地目変更登記」といいます。

 

土地の用途に変更が生じた場合、不動産登記法によりその日から1ヵ月以内に地目変更登記を申請する義務があり、もし申請を怠ると10万円以下の過料が科せられる可能性があります。

 

なお、登記簿上の地目を登記地目といい、固定資産税の課税評価に用いられる地目を課税地目といいます。本コラムでは登記地目について解説します。

 

地目の種類一覧(全23種)

不動産登記規則で定められた登記上の地目は全部で23種類あります。全23種類の名称と概要は次のとおりです。

 

地目の判断要素は、登記実務において「現況主義」に基づき、土地が実際にどのように利用されているか(=現況)によって決まります。

 

具体的には、土地が恒常的にどの用途に供されているか、造成の有無、建物の存在や種類、利用者の意図、公法上の制限など複数の要素から、登記官が総合的に判断します。

地目変更を行う主なケース・目的

(画像:PIXTA)
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ここでは不動産投資や土地活用の場面で直面しやすい、地目変更を行う主なケースとその目的について解説します。

 

家を新築したとき

家を建てた土地は通常「宅地」として扱われます。もともと登記簿上の地目が「山林」や「原野」、「雑種地」など宅地以外であっても家を新築することは可能ですが、住宅を新築した場合には地目を「宅地」に変更する必要があります。

 

例えば、山林として登記された土地を造成してマイホームを建築すること自体は可能ですが、建物が完成したら土地の現況は住宅敷地となります。そのため、忘れずに宅地へと地目変更登記を行わなくてはなりません。地目変更を申請する際には、建物の新築完了日を変更日として登記原因に記載します。

 

なお、郊外にある中古の戸建てや地主の土地活用のアパートなどでは、土地の地目が山林や原野、雑種地のままとなっていることも決して珍しくはありません。本来であれば宅地へ変更しなければなりませんが、実態としてはそうした物件も一定数あることも事実です。

 

また、地目変更をしない方が固定資産税を抑えられると勘違いをされるケースもよくありますが、固定資産税の課税地目はあくまでも現況に基づいて判断され、住宅が建っていれば登記地目にかかわらずその土地は宅地として評価されます。地目変更をしなくても実態として宅地で利用されている土地であれば、宅地として固定資産税が課されるのが原則であり、地目変更を行わないことで得られるメリットは基本的にありません。

 

土地を売るとき

所有している土地を売却する際にも、地目の確認と必要に応じた「地目変更登記」が重要になります。

 

買い手が住宅ローンを利用するにあたり、金融機関から地目変更を求められるケースもあります。金融機関の目線としては、融資審査時の担保評価の中で宅地として評価した土地については、本来その地目についても宅地となっている方が当然に望ましく、地目が宅地となっていない場合には、融資にあたり地目変更を条件とするケースも珍しくはありません。

 

また、地目が農地(田や畑)の土地を売却する場合には、農地法第5条による「農地転用を前提とした売買」として農業委員会への手続きが必要となります。市街化区域内であれば届出で足りますが、市街化区域外であれば許可の取得が必要です。この手続きを完了した後に、農地の売買と地目変更登記を行うことになります。

 

農地を宅地へ転用するとき

売買を伴わずに、地目が「田」や「畑」の農地を宅地など他の用途に変更する(農地転用)場合は、農地法第4条による農業委員会への手続きが必要となります。これについても前述の通り、市街化区域内であれば届出で足りますが、市街化区域外であれば許可の取得が必要です。

 

農地は日本の食料自給率に関わるため、農地法により用途変更が厳しく制限されています。そのため用途変更をする際には、農業委員会への届出または許可取得が必要になります。

 

宅地を駐車場へ転用するとき

建物が建っていた宅地を更地にして駐車場として利用する場合なども、地目変更の対象になります。建物が取り壊され土地が更地になると、もはや「宅地」(建物敷地)とはいえないからです。

 

一般的には建物のない駐車場用地は登記上「雑種地」に分類されます。例えば相続した実家を解体して月極駐車場にしたようなケースでは、土地の現況が宅地から雑種地へ変わったことになるため、忘れずに地目変更登記を行いましょう。

 

なお、駐車場については新しい建物を建築するまでのあくまでも一時的な運用として利用されるケースも多くありますが、そうした場合には地目変更を行わないことが一般的です。

地目の調べ方

自分が所有している土地やこれから購入を検討している土地の地目を確認する方法は、いくつかあります。代表的な方法は法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して確認する方法です。また、手元にその土地の固定資産税納税通知書があれば、そこにも地目が記載されています。

 

ここからは、これらの確認方法について詳しく説明します。

 

登記簿謄本などで確認する

法務局で発行される登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば、その土地の地目を正確に知ることができます。

 

登記簿の表題部には土地の所在や地番、地積(面積)とともに「地目」が記載されています。登記事項証明書は全国どこの法務局窓口でも交付請求が可能で、土地の所在地・地番さえ分かれば誰でも取得できます。また、登記情報提供サービス等のオンラインシステムを利用して地目を確認することもできます。

 

手数料は1通あたり数百円程度(オンライン請求で480円、窓口交付で600円)です。

 

固定資産税納税通知書で確認する

自治体から送付される固定資産税の納税通知書にも、その土地の地目が記載されています。

 

通知書に記載されているのは「課税地目」といって課税計算上の地目になります。課税地目はその年の1月1日時点での土地の現況や利用状況に基づき市区町村が認定するもので、登記地目と必ずしも一致しないケースもあります。

 

例えば、元々は登記簿上も現況もいずれも「山林」としていた土地を、12月1日に資材置き場に変更する場合、翌年の納税通知書には「雑種地」と記載されるものの、地目変更登記を失念した場合には登記地目は「山林」のままとなり、登記地目と課税地目が一致しないことになります。

 

納税通知書を見ることで、その土地が課税地目としてどのように評価されているかを知ることができます。登記地目と課税地目が一致しない場合には、現況に合わせて適切に地目変更登記を行いましょう。

地目変更をする手続き・必要書類

(画像:PIXTA)
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ここからは、実際に地目変更登記を行う手続きの流れと必要となる書類について解説します。自分で申請する場合に知っておきたい具体的なステップや、専門家に依頼する場合のポイント、そして申請に必要な書類一式を整理します。スムーズに登記を完了させるために、事前の準備をしっかり行いましょう。

 

地目変更手続きの流れ

地目変更登記の大まかな流れは次のとおりです。

 

①地目を調べる

②土地の現況を確認する

③法務局で手続きを行う

 

登記簿謄本や現地調査により、当該土地の現在の登記地目と現況を確認します。現況が登記地目と異なることを把握し、変更後の適切な地目を判断します。特に農地の場合は農地法上の手続き(許可や届出)が済んでいるかの確認が必要です。

 

地目変更に必要な書類

地目変更登記に必要な書類を揃えます。地目変更申請書のほか、住民票、土地の現況を示す図面や写真、農地転用の場合は農業委員会の許可証や受理通知書(届出の場合)も準備します。

 

また、状況に応じて追加書類が求められることもあります。例えば、土地所有者がすでに亡くなっている場合には相続人への所有権移転を証する戸籍謄本類や遺産分割協議書など、登記名義人を確定させるための書類が必要になります。事前に法務局の窓口や専門家に相談し、漏れのないよう準備しましょう。

 

必要書類一式が整ったら、土地の所在地を管轄する法務局に登記申請を行います。法務局で申請内容が審査され、問題なければ登記簿上の地目が変更されます。登記完了までの期間は通常1週間〜10日程度ですが、書類不備や法務局の実地調査等がある場合はもう少し時間を要することもあります。

 

登記が完了すると新しい地目が記載された登記事項証明書を取得できるようになり、手続きは完了です。

地目変更で発生する費用

地目変更登記そのものには、登録免許税(登記の際に納める税金)が課されません。そのため、土地の所有者本人が自ら手続きを行う場合には基本的に費用はかからず、法務局への郵送代や証明書発行手数料などの実費のみで済みます。

 

一方、手続きが不安な場合や手間を省きたい場合には、土地家屋調査士に依頼することもできますが、その場合は依頼にあたっての報酬が発生します。報酬額は地域や土地の状況によって異なりますが、おおむね数万円(一般的には3~5万円前後)を見込んでおくと良いでしょう。

 

これに加えて郵送代や必要書類の取得費用といった実費、そして農地転用の事前手続きがある場合は別途行政書士等への依頼費用がかかる場合もあります。

 

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