レンタブル比とは?計算方法を解説
レンタブル比とは、ビルやマンションなど建物全体の延床面積のうち、実際に賃貸できる部分(専有面積)が占める割合を示したものです。オフィスビルやマンションでは、エントランス・廊下・階段・エレベーターなどの共用部分が必ず設けられますが、共用部分は賃貸できる部分(専有面積)には含まれません。この割合が大きいほどレンタブル比は低くなります。
レンタブル比が低いことは、収益を生むスペースの割合が低くなることを意味します。つまり、収益物件としては効率が悪いということになります。一方で、共用部分を最小化すればレンタブル比は向上し、数値上では収益効率も高まりますが、建物自体の見栄えが悪くなったり利用者にとって使いにくくなったりしてしまうことで、かえって物件としての魅力が落ちてしまうこともあります。そのため、レンタブル比は単に高ければいいというわけではありません。
レンタブル比の計算式は、次の通りです。
レンタブル比の計算方法
専有面積(賃貸可能面積)÷ 延床面積×100%
レンタブル比は主にオフィスビルやホテルなど、投資家や事業者が物件を取得・運用する際に参考とする指標であり、一般的な賃貸住宅ではそれほど重要視されません。これは、住宅投資においては、間取りの利便性、入居率、立地条件など、他に考慮すべき指標が多いからです。
そのため賃貸物件に投資する際には、レンタブル比だけで投資判断をするのではなく、他の指標や市場動向を踏まえ、総合的に物件の収益性を判断することが重要です。
レンタブル比の計算例
レンタブル比を正しく理解するために、具体的な計算例を見てみましょう。
物件概要(賃貸マンション)
- 延床面積:1,000㎡
- 1部屋の専有面積:25㎡
- 部屋数:30戸
- 共用部分(廊下・エントランス・エレベーター等):250㎡
計算式
- 専有面積の合計 = 25㎡×30戸=750㎡
- レンタブル比 = (750㎡÷1,000㎡)×100=75.0%
※共有部分(250㎡)は賃貸面積ではないため含めない。
このように、この物件のレンタブル比は75%であり、残りの25%が共用部分ということになります。後ほど紹介するように、賃貸マンションのレンタブル比の目安は65%〜80%とされるため、比較的レンタブル比が高い物件といえるでしょう。
ただし、共用部分が比較的少ないことから、住環境の快適さが損なわれていないか注意が必要です。
レンタブル比の目安
レンタブル比は物件の種類により異なりますが、一般的な目安は次の通りです。
レンタブル比の一般的な目安
- オフィスビル:65~75%程度
- 賃貸マンション:65~80%程度
- 商業施設:60~75%程度
- ホテル:70%程度
・オフィスビル
レンタブル比は65~75%の範囲に収まることが一般的です。オフィスビルは共用スペースとして広いエントランスや複数のエレベーター、共用会議室などを設けることが多いため、賃貸可能な面積が相対的に少なくなります。
特に高層ビルの場合は、エレベーターホールや設備スペースの比率が高くなるため、レンタブル比は低くなる傾向があります。
なお、自社ビルとして保有している場合には、賃貸目的よりも自社使用を主目的として設計しているケースもあり、その場合にはそれほど収益性を考慮しないことから、レンタブル比は低くなることもあります。
・賃貸マンション
レンタブル比は65~80%程度が一般的です。住宅用途の建物は、廊下やエレベーターなどの共用部分がオフィスビルよりも少なく済むため、レンタブル比が比較的高くなります。
特にワンルームマンションなどでは、共用部分の割合がよりコンパクトに収まりやすく、レンタブル比が80%近くになることもあります。
また、賃貸マンションでは入居検討者からの人気も重要になります。レンタブル比を高くすることを重視しすぎてしまうと、利便性や外観が損なわれ入居検討者から選ばれづらくなってしまう可能性もあるため、バランスを考えて共用部分の確保をすることが必要です。
・商業施設
レンタブル比は60~75%程度とされています。商業施設の場合、通路やエントランスホール、休憩スペース、エスカレーター、バックヤードや倉庫などの共用エリアが大きな割合を占めるため、賃貸可能な部分の割合はオフィスビルやマンションよりも低くなる傾向にあります。
・ホテル
レンタブル比は70%程度が一般的です。なお、これはビジネスホテルの場合の目安で、リゾートホテルなど共有部分を広く確保しているホテルの形態では、レンタブル比はより低くなります。