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基礎年金だけだと「毎月8.5万円」足りない
老後資金というと、「2000万円問題」が話題となったことも記憶に新しいですが、実際には退職金もなく、厚生年金に加入していなかった人々が多く存在します。特に自営業やフリーランスとして長年働いてきた人は、受け取れる老齢年金は国民年金のみ。令和7年度、満額受給であれば月6万9308円。それに対して、高齢者ひとり暮らしの場合の1ヵ月の家計支出は平均15万4,601円。年金だけでは、毎月8.5万円ほどの赤字となり、それを貯蓄を取り崩すなどして対応しなければなりません。
「会社員であれば定年がある。でも自営業であれば、その気になればいつまでも働ける。だから老後の準備が手薄だったことは否めない」と河野さん。「もっと若い頃に将来のことを考えていれば……と悔やむ気持ちはありますが、それももう遅いですからね」と淡々と語ります。
内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』で「老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ」を尋ねたところ、「年金に全面的に頼る」が26.3%、「公的年金中心とし個人年金や貯蓄等組み合わせる」が53.8%。「年金があるから大丈夫」と考えている人が圧倒的多数を占めることがわかります。また自営業者に限っても「全面的に頼る」が20.1%、「公的年金中心に個人年金等組み合わせる」が43.1%。このなかに基礎年金しか受け取れない人がどれほどいるかわかりませんが、会社員よりも受取額は少ないと考えられます。それでも年金を頼りにしているとは――。
「もちろん、年金があって助かっている」と河野さん。しかし「年金があるから安心というにはあまりに早計」だといいます。
「コメを買うのも躊躇する毎日。年金を充てにした結果、この有り様だよ」
河野さんは、今日もスーパーのコメ売り場を素通りしつつ、価格が下がっていないか横目でチェック。今よりも5キログラムで1000円ほど価格が下がったら、思い切って買ってみようかと考えているといいます。
[参考資料]
総務省統計局『消費者物価指数(CPI)』
内閣府『生活設計と年金に関する世論調査(令和5年11月調査)』