
物価高騰とサラリーマンの財布事情
「ラーメンの話ばかりで恐縮ですが」と前置きしながら、内田さんは先日、同僚に誘われ、久々にラーメン屋に行ったといいます。券売機に並ぶメニューはすべて1,000円超え。普通の醤油ラーメンでさえ1,050円でした。
同僚と一緒だったため、「高いから他の店にしよう」とはいえず、泣く泣く一番安いラーメンを注文。その横に座っていたのは、出張帰りらしき大きなスーツケースを持ったサラリーマン。ちらっと運ばれてきたラーメンを見ると、内田さんのものにはない煮卵と、プラス数枚のチャーシュー。食べ終わったあとに券売機を確認すると、そのラーメンは特製スープのもので1,300円。さらに煮卵追加で150円、チャーシュー追加で250円……合計1,700円。
「思わず、『豪華なランチコースかよ』と心の中でツッコミを入れたくなりました」と内田さん。
SBI新生銀行が昨年発表した『2024年会社員のお小遣い調査』によると、男性会社員のお小遣いは前年比1,477円減の平均3万9,081円。一方で昼食代は85円増額し、平均709円となっています。物価高で家計はひっ迫。「お小遣いを減らしてもいい?」という提案を泣く泣く受け入れる一方で、どんどん高くなるランチ代に肩を落とすしかない……厳しいサラリーマンの懐事情が垣間見えます。
「私も、躊躇なく煮卵とチャーシューをトッピングできるようになりたいですよ。でも、そんな贅沢ができるのは一部の勝ち組だけなんでしょうね」
厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和7年1月分結果速報』によると、現金給与総額(規模5人以上)は29万5,505円と37ヵ月連続でプラス。規模30人以上では33万2,594円で47ヵ月連続のプラス。しかし、物価高を考慮した実質賃金指数(規模30人以上)は5ヵ月ぶりにマイナスを記録。最近は賞与のタイミングでプラスに転じ、再びマイナスに戻るという繰り返しが続いています。
賃金が上がってもベースアップにはならず、給与アップを実感しにくい状況。1,000円超えのラーメンを躊躇なくすすれるようになるには、まだ時間がかかりそうです。
[参考資料]
厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和7年1月分結果速報』