高齢になっても健康なまま生活したい、と考えたとき食事に気をつける方も多いでしょう。しかし食事にも私たちは無意識な偏見を向けています。そこで本記事では、医学的観点から肉を食べたほうがよい理由や、好きなものを我慢せずとことん食べるメリットを、70代、80代を楽しく生きるために知っておくべき「新常識」について和田秀樹氏が著した著書『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)より一部抜粋・編集して、詳しくご紹介いたします。
ナッツ類でも豆類でもない 「老化予防・認知症予防」に理想的な、医師・和田秀樹氏がすすめる〈食べ物〉
夜の炭水化物抜きは脳に悪影響
日本人はお酒を飲むと、つまみだけを食べて、炭水化物をとらない人が多い傾向にあります。しかしながら、そういった人もごはんでもうどんでもいいので、〆の食事は必ずとるべきです。
夜の炭水化物不足は、脳の働きに悪影響を及ぼすからです。みなさんは、夜は寝ているだけだから脳は働いていないんじゃないかと考えるかもしれませんが、先ほどもお話ししましたように、記憶に関しては、脳が一番活躍するのは寝ているときなのです。
炭水化物が必要ですし、さらにビタミンが多いほうがいいので、可能であればビタミンB1が大量に含まれている豚肉や納豆を食べるのがおすすめです。
がんになりやすい食事
アメリカでは心筋梗塞で亡くなる人が、がんで亡くなる人と同じくらいです。日本で心筋梗塞で亡くなる人は、がんで亡くなる人の12分の1程度です(心疾患全体で半分程度)。アメリカ人は心筋梗塞で亡くなる人が多いので、コレステロール値を減らしたほうがいいと思います。しかし、コレステロール値を低くしようというのは、心筋梗塞の予防のためですから、日本人はそれほど気にする必要はないのです。
アメリカ人は1日の平均で約300グラムの肉を摂取すると言われています。ところが日本人は約90グラムしか食べていません。沖縄県の人々が約100グラムの摂取で長寿であることを考えると、日本人は肉をもっと食べたほうがいいのではないか、というのが私の考えです。
コレステロール値を減らすと身体の免疫機能が落ちるので、がんが発症しやすくなってしまいます。実際、コレステロール値が低いほどがんになりやすいというデータもあります。日本人はがんの死亡率が高いわけですから、コレステロール値は少し高めのほうがよく、むしろ低いほうが問題だと私は考えています。
コレステロール値を下げると、男性ホルモンも減り、セロトニンも減少しますので、うつ病など心の病にもかかりやすくなります。医療常識に縛られず、自分に合った効果的な食事法を見つけることが、70代・80代を楽しむためには必要なことになるのです。
和田 秀樹
和田秀樹こころと体のクリニック院長