血圧・血糖値・コレステロール値の嘘:数値を下げても逆効果

数値を下げて生まれる別のリスク

健康診断の各項目において、健康に生きるための目標数値が設定されていますが、それら全てが高齢者に当てはまるわけではありません。数値を下げることで、体調が悪くなることもあるのです。

血圧、血糖値、コレステロール値は、現代の医療で「三大悪」のように言われています。これらが高いと心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中になるリスクがあるからです。薬を飲んで数値を下げることもできますが、それによって、身体がだるい、頭がぼーっとするなどの状態が引き起こされます。また免疫機能も落ちるので、様々な病気にかかりやすくなります。

それなのに薬を飲んで、血圧、血糖値、コレステロール値だけを下げようとすることはおかしいと私は思っています。日本人の死因の第1位はがんです。血圧や血糖値を下げても、がんのリスクは減りません。それどころか免疫機能が落ちるため、がんのリスクは逆に高まるとさえ考えられるのです。特にコレステロールは免疫細胞の材料となるため、コレステロール値が高いほどがんになりにくいという調査データもあるほどです。

しかし日本はアメリカ型の医療原則を適用しているため、アメリカ人の死因第1位である心筋梗塞の予防に有効的な血圧・血糖値・コレステロール値を下げることを重要視しています。アメリカとは生活環境や病気の構造も違っているのに、アメリカ型を取り入れている。それが日本の医療の悲しい現状なのです。

[図表1]最高血圧の平均値の年次推移
[図表1]最高血圧の平均値の年次推移 出典:厚生労働省資料「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
[図表2]最高血圧が140mmHg以上の割合の年次推移
[図表2]最高血圧が140mmHg以上の割合の年次推移 出典:厚生労働省資料「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」

この10年間で男女ともに平均値も最高血圧の割合も減少していますが、高齢者にとっては数値を下げることが、必ずしも健康的な長生きにつながる要素だとは限りません。

※2019年より水銀を使用しない血圧計を使用

[図表3]総コレステロールが240mg/dL以上の割合の年次推移
[図表3]総コレステロールが240mg/dL以上の割合の年次推移 出典:厚生労働省資料「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
[図表4]nonHDLコレステロール値の平均値の年次推移
[図表4]nonHDLコレステロール値の平均値の年次推移 出典:厚生労働省資料「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
※nonHDLコレステロール(mg/dL)=総コレステロール(mg/dL)-HDLコレステロー ル(mg/dL)