高齢になっても健康なまま生活したい、と考えたとき食事に気をつける方も多いでしょう。しかし食事にも私たちは無意識な偏見を向けています。そこで本記事では、医学的観点から肉を食べたほうがよい理由や、好きなものを我慢せずとことん食べるメリットを、70代、80代を楽しく生きるために知っておくべき「新常識」について和田秀樹氏が著した著書『70代、80代を楽しむためにこれだけは知っておこう!』(かや書房)より一部抜粋・編集して、詳しくご紹介いたします。
(※写真はイメージです/PIXTA)
ナッツ類でも豆類でもない 「老化予防・認知症予防」に理想的な、医師・和田秀樹氏がすすめる〈食べ物〉
物事を記憶するのに役立つのが意欲&好奇心
高齢者の方々は男性ホルモンが減少しがちです。これが減っていくと、物事に取り組む前向きな意欲が衰えてきます。
物事を記憶するのに役立つのが「意欲」や「好奇心」ですので、男性ホルモンの低下は、記憶力を減退させることにつながっていくのです。男性ホルモンが減少してきますと、短期記憶を担っている神経伝達物質「アセチルコリン」がつくられにくい状態になります。
最近の研究では、男性ホルモンが記銘力の中枢である海馬という部分に直接働きかけることも知られています。つまり男性ホルモンが減ると、記憶力が悪くなってしまうのです。
健康の良し悪しは総合的に判断しよう
それでは、男性ホルモンの減少にはどう対処すればいいのか?
答えは、先ほども説明しましたように、肉や魚などのタンパク質を多くとることです。食べ過ぎると「コレステロール値が高くなるから」と気にする方もいらっしゃいますが、一般的に言われている「善玉コレステロール値」や「悪玉コレステロール値」というのは、数値がいわゆる「正常値」より少々高くても健康には関係なく、逆にコレステロール値が低いと問題が起こります。
善玉、悪玉という区別は動脈硬化にとってだけの話で、実は悪玉コレステロールと言われるものが男性ホルモンの材料になっているのです。「私は胃が健康だ」「私は脳の衰えが少ない」と言っても、胃だけで生きている人はいませんし、脳だけで生きている人もいません。「健康の良し悪し」は総合的にしか判断できず、その「総合的」な判断をするには、「統計」しかないのです。
統計によると、コレステロール値が少し高めのほうが長生きできるということなので、それが最も健康的な方法という結論に至ります。