厚生労働省から令和6年の『賃金構造基本統計調査』の結果が発表され、最新の会社員の給与事情が明らかになりました。そこから見えてきたのは「実感なき賃上げの実情」でした。※本記事では労働者を会社員、所定内給与を月収と表現しています。
47都道府県「会社員の平均給与」最新ランキング!1位と47位の酷すぎる格差。「実感なき賃上げの実情」が明らかに

都道府県別会社員の平均月収…地域格差拡大、東京一極集中が鮮明に

続いて、都道府県別に会社員の平均給与をみていきましょう。47都道府県のなかで、全国平均を上回ったのは4都府県のみ。トップは「東京都」で平均月収で40万3,700円、年収で644万3,800円。「神奈川県」「大阪府」「愛知県」と続きました(参考記事:『【ランキング】47都道府県「会社員の給与」2025…年収・年収増加率・男女別<令和6年賃金構造基本統計調査>』)。

 

一方で、会社員の平均給与が最も低いのは月収では「宮崎県」で、年収では「沖縄県」。トップの「東京都」との差は、月収で14万円強、年収で250万円強ほどになりました。昨年の1位と47位の差は月収で11万円、年収で200万円弱だったので、地域間の給与格差は拡大。特に「東京都」の平均給与は月収で唯一40万円台、年収で唯一600万円台と、頭ひとつ抜けています。「給与アップ」とよく耳にするものの、今のところ大企業中心。大手企業の本社が集まる「東京」が給与増を実現し、全国水準を引き上げている実態を垣間見ることができます。

 

【都道府県「会社員の平均月収」上位5、下位5】

1位「東京都」403,700円/6,443,800円

2位「神奈川県」355,800円/5,770,700円

3位「大阪府」348,000円/5,563,700円

4位「愛知県」332,600円/5,484,300円

5位「京都府」323,300円/5,162,100円

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43位「岩手県」267,000円/4,168,700円

44位「沖縄県」266,300円/3,935,000円

45位「秋田県」265,500円/4,081,600円

46位「青森県」259,900円/4,038,800円

47位「宮崎県」259,800円/4,027,000円

※数値左より月収/年収

 

さらに、2023年の給与と比較してみると、最も増加率が高かったのは「東京都」で前年比63万6,500円、割合にして11.0%増。「徳島県」「新潟県」「香川県」「長崎県」と続きました。一方で「栃木県」は前年から37万1,200円、割合にして6.9%減を記録。8道県が前年を下回りました。

 

【都道府県別「会社員の平均年収」上昇率上位10】

1位「東京都」636,500円(111.0%)

2位「徳島県」389,000円(109.2%)

3位「新潟県」287,900円(106.8%)

4位「香川県」280,900円(106.3%)

5位「長崎県」277,500円(106.9%)

※数値左より年収増加額/年収上昇率

 

昨今、給与アップのニュースをよく耳にしますが、「本当に給与が上がっているのか?」と疑問に思う人が多くいます。いわゆる「実感なき賃上げ」。東京が特に給与増を記録し全国平均を押し上げていること、一方で前年よりも給与ダウンとなった地域がみられることから、給与アップは限定的であり、全国的な動きではないことは明らかです。今後、地域格差が縮小され、給与アップの流れが全国に広がるか、注目が集まります。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』