この春に進学を控えている人たちのなかには奨学金を利用する人も多いでしょう。ただし、貸与型の奨学金は卒業とともに返済しなければならない、いわゆる借金。それにより、卒業後の生活が大きく変わってしまうものです。なかには「人生が狂った……」と嘆く人も。
人生間違えたんでしょうか…〈月収45万円〉45歳のサラリーマン、大学卒業と同時に抱えた「借金600万円」に絶望。奨学金が人生の足枷になる「厳しい現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

月2万5,000円の奨学金返済は本当に苦しかった

ITエンジニアとして働く福田剛さん(仮名・45歳)。大学進学のために上京しましたが、当時はバブル崩壊後の不良債権が表面化し、金融機関の経営破綻が相次ぐといった経済状況。福田さんの父親が勤める会社も業績は芳しくなく、とても進学できる状況ではなかったといいます。そこで頼ったのが奨学金でした。

 

月12万円の奨学金。5万円は無利子、7万円は有利子でした。それで賄えるのは学費と生活費の一部で、足りない分はアルバイトをして賄ったといいます。こうして大学を4年で卒業したものの、時代は就職氷河期。非常に厳しい雇用情勢の時代でした。

 

――希望していた大手企業には、どこにも引っかからなかった

 

福田さんは、当時を振り返ってそう語ります。結局、中小のIT企業に就職することになりました。決して悪い会社ではなかったといいますが、給与水準や待遇は、思い描いていたものとは大きく異なっていたといいます。

 

――私が新卒のころは、大手も中小も初任給は20万円前後という時代でした。だから当初は「就職できただけでよかった」と思っていたんですが、問題はそのあと。大手に就職した同期はどんどん給与があがっていきましたが、私はずっと低空飛行。しばらくして大手と中小の差を思い知りました

 

奨学金の返済は、貸与が終了した月の翌月から数えて7ヵ月目に始まります。総額600万円。月々の返済は2万5,000円ほどで、返済は40代まで続きます。

 

就職したのと同時に600万円の借金を背負う。初任給20万円、手取り16万円程度のなか、月々2万5,000円ほどを返済。残り13万円強で、東京でひとり暮らしを続けていくことはかなりの苦労でした。

 

――20代の頃は本当に生活が苦しかった。30代になり、今の会社に転職してからは給与が増えて、やっと人間らしい生活ができるようになりました。それでも月2万5,000円の奨学金返済はボディブローのようにくるんですよね。早く奨学金の返済から解放されたいと、40歳手前で残債を一括返済しました