この春に進学を控えている人たちのなかには奨学金を利用する人も多いでしょう。ただし、貸与型の奨学金は卒業とともに返済しなければならない、いわゆる借金。それにより、卒業後の生活が大きく変わってしまうものです。なかには「人生が狂った……」と嘆く人も。
人生間違えたんでしょうか…〈月収45万円〉45歳のサラリーマン、大学卒業と同時に抱えた「借金600万円」に絶望。奨学金が人生の足枷になる「厳しい現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

奨学金の返済以外、何も考えられなかった

40歳になるまえに奨学金の返済負担から解放された福田さん。現在の月収は45万円、年収は750万円ほどだといいます。

 

――大手に勤めている同期と比べると給与は低いと思いますが、20代の頃と比べると、ずいぶんと給与が増えたなと……思わず感慨にふけてしまいます

 

氷河期時代によくある、大学を卒業して以来ずっと低空飛行の状態からは脱出した福田さん。しかし、奨学金に関しては複雑な思いを抱いています。

 

――大学を卒業して以来、ずっと奨学金返済に追われていました。同期の多くは結婚し、子どもが生まれて、家を買っている人も。でも自分はそんなことを考える余裕すらありませんでした。人生を間違えた……いまはそんなことを考えてしまいます

 

労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024』によると、奨学金返済の負担感を聞いたところ、44.3%が「苦しい」と回答。雇用形態別では正社員でも40.1%が「苦しい」と回答し、年齢別では30代後半が最も返済負担に苦しんでおり、その割合は49.6%にのぼりました。

 

また奨学金返済がどのように影響しているか尋ねたところ、「結婚」は44.3%が「影響している」と回答。「出産」は38.2%、「子育て」は37.0%、「持ち家取得」は40.5%が「影響している」と答えており、奨学金返済がいかに人生に影響を与えているかを物語っています。

 

――このままでは、奨学金が人生の足枷になったということになる。さすがにそれは避けたい。奨学金を利用して大学に行ってよかったと思えるよう、これから頑張っていきます

 

奨学金制度は、経済的な理由で進学を諦めざるを得ない若者を支援するための制度ですが、奨学金返済に苦しむ人が増え、社会問題化しました。奨学金は、卒業後に返済しなければならない借金であり、返済期間が長期にわたるため、人生設計にも大きく影響する場合も珍しくありません。福田さんのように、就職氷河期の影響を受けた世代は、特に厳しい状況に置かれています。

 

一方で昨今は返済する必要のない給付型奨学金や、福利厚生の一環として企業が従業員の奨学金返済を肩代わりする「奨学金返済支援制度」を取り入れる企業も。奨学金によるライフプランの崩壊を防ぐためにも、奨学金は将来への投資であると同時に、リスクも伴うことを理解するとともに、奨学金を借りる前に返済計画をしっかりと立てることが重要です。

 

[参考資料]

労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024』