
完璧だったはずの二世帯同居…崩れていく家族関係
当初は、二世帯住宅での生活は順調でした。しかし、時間が経つにつれて、少しずつ問題が表面化してきました。一番の問題は、母親の育児への口出しです。村上さん夫婦は共働き。ひとり娘の咲良ちゃん(仮名・5歳)が小学校入学までは時短勤務にして、仕事と育児の両立に奮闘していました。そんな美咲さんに対し、母親は「保育園に預けっぱなしでかわいそう」「手作りのものを食べさせないと」などと、美咲さんのやり方に細かな口出しをしてくるのです。美咲さんは、母親の言葉にストレスを溜め込んでいきました。
一方、村上さんは両親(主に母)からも「美咲さんの育児はなっていない」とチクリと嫌味をいわれます。ある日、美咲さんは村上に涙ながらに訴えました。
――あなたはお義母さんの味方? 私の味方?
さらに母親からは
――お前はどっちの味方なんだ? 美咲さんのことばかりかばって
といわれる始末。村上さんは、どちらの言い分も理解できます。しかし、どうすればいいのか、まったくわかりません。次第に自宅はくつろぐ場所ではなく、気を遣う場所になっていきました。美咲さんとの関係も悪化。会話が減り、笑顔も消えていき、親との関係もぎくしゃくしています。感謝の気持ちはあっても、一緒にいるのが辛くなっていったのです。
Q.嫁姑問題に対して夫は…
口だけではなく、実際に行動してくれる夫だ…45%
口だけで実際は行動してくれない夫だ…55%
Q.嫁姑問題、妻が夫に求めるサポート(上位3位)
自分と姑の意見調整…47.3
姑への忠告…35.2
自分と姑の感情的な部分のサポート…35.2%
出所:株式会社Clamppy『嫁姑問題に関するアンケート』
嫁姑問題解決へ…キーマンは?
胃がキリキリと痛み、もう逃げだしたい気持ちでいっぱいになっていた村上さん。しかしこのままでは夫婦関係も、親子関係も壊れてしまう……重い腰をあげることにしました。
まず村上さんは美咲さんの気持ちに寄り添うことを心がけました。母親の言葉にストレスを感じていることを理解し、美咲さんの頑張りを認め、感謝の言葉を伝えるようにしました。両親との接し方を見直しました。感謝の気持ちを伝えつつも、はっきりと自分の意見を伝えるようにしました。また、適度な距離感を保つために、週末は家族だけで過ごす時間を作るようにしました。さらに、家族みんなで話し合う機会を設けました。お互いの気持ちを伝え合うようお互いが努力するようになったのです。
もちろんそれだけで関係が良好に変わるわけではありません。ただ少しずつ良好になっていっているのを感じるといいます。
4月からは咲良ちゃんは小学校に進学し、美咲さんは時短勤務ができなくなります。そうなると、村上さんの両親に頼ることも多くなるでしょう。嫁姑の関係が悪いと、咲良ちゃんにも悪い影響を与えます。
――ここは咲良の力を借りて、一気に家族の関係を改善しよう
村上さん、今なお残る胃の痛みを抱えつつ、画策を練っています。
[参考資料]