(※写真はイメージです/PIXTA)
銀行「資産運用をしなさい」を信じて…貯蓄のすべてを株式投資に全振り
――銀行が「資産運用をしなさい」というんだから、しないわけにはいきませんよね
なぜ投資初心者がそんな大胆行動を、と驚く人も多いと思いますが、特に年配の人に多いのが銀行神話。「銀行様がいっているのだから間違いない」と、絶対的信頼を寄せているケースです。それでも投資の基本をしっかりと学んだうえで資産運用に取り組むのであればいいのですが、中途半端な知識や都合のいい解釈で投資の世界に足を踏み入れる人も珍しくありません。
田中さんの場合もそう。「お金は持っているだけでは減ってしまうというじゃないですか。それであれば、投資にまわしたほうがいいですよね」と、預貯金を全否定。周囲も唖然とする極端な行動に出てしまったわけです。それでもビギナーズラックもあります。田中さんが購入したのは、テクノロジーやヘルスケア分野など将来的な成長が期待できる成長株。大きな利益が期待できる一方で、ボラティリティが高いなどのリスクや注意点も。
さらに時期が悪く、投資を始めてからすぐに市場全体が一気に株安に転じるタイミングに遭遇。総資産額は3割ほど減少してしまいました。驚いた田中さん。銀行に乗り込み、「おい、お前ら騙したな!」と大騒ぎ。完全に見当違いなクレーマーと化してしまったといいます。
【投資種別・購入時の商品性の理解】
■株式投資
商品性をあまり理解していなかった…18.0%
商品性を理解していなかった…6.8%
■投資信託
商品性をあまり理解していなかった…22.8%
商品性を理解していなかった…6.8%
■外貨預金等
商品性をあまり理解していなかった…20.6%
商品性を理解していなかった…8.1%
出所:金融広報中央委員会『金融リテラシー調査(2022 年)』
その後、株価は回復したものの、いまだに購入時の価格までは戻すことができず、元金割れが続いているといいます。ひと悶着あったものの、ここで踏みとどまっている田中さん。なかには損失をすぐにどうにかしようと、たとえば「信用取引」に手を出してしまうケースも。現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。そしてたいていはドツボにはまってしまう、というのがよくあるパターンです。
――右も左もよくわからず始めてしまったけど、今は多少わかるようになりました。とりあえず、リスクを分散しながら、これからも資産運用をすすめていくつもりです。これから先の人生も長そうですから
[参考資料]