
定年を機に資産運用に興味がわいてきた
エンジニアとして40年間働いてきた田中誠さん(仮名)。定年以降は再雇用され契約社員として働き続けることが決定していますが、いったんは60歳でひと区切り。1,500万円の退職金を受け取りました。
――1度に、こんなに大金が振り込まれるのを見たことはありませんでした。嬉しくて、ずっと通帳を眺めていました
指定した口座に退職金が振り込まれたときのことを興奮気味にはなします。そんな浮かれた社員も多かったのでしょう。会社から「退職金の運用の手引き」という小冊子を受け取りました。
そこには退職金を受け取った際の資産運用法などが書かれていましたが、田中さんにとってはちんぷんかんぷん。「投資なんて難しくてわからない」と、これまで定期貯金くらいしかしたことがありませんでした。ただ定年を迎え、余裕が出てきたのでしょう。一度は耳にしたことがある資産運用に興味ひかれる自分がいました。
また実際に定年を迎え、退職金を手にすると、色々と目に入ってくるものが違います。日常使いの銀行に行った際、これまで目に入らなかったポスターがくっきりと飛び込んできました。
「退職金専用特別プラン/金利0.2%」
「初めての退職金運用セミナー」
ただ、書いている内容はよくわかりません。唯一、セミナーは誰でも無料で参加できることだけはわかったといいます。そこで平日の14時から。参加しにくい時間ではありましたが、何とか都合をつけて参加したという田中さん。「本当に有意義だった。参加してよかったですよ」と目を輝かせています。
――お金を預けておけば知らず知らずのうちに増えると思っていました。そんなこと、ないんですね
まだ先の長い人生。資産運用の必要性を理解したところまではよかったのですが、田中さんは極端な行動に出ます。退職金全額に加えて、老後のために貯めてきた預金(1,000万円弱)もすべて株式投資に……まさかの大胆行動です。