定年後も働く人が9割弱といわれていますが、働く理由のひとつが年金の受給開始までの間、無収入になるから。つまり「お金の不安さえなければ定年で仕事を辞める」という人が多いといえます。実際に定年で仕事を辞められる人は、お金の不安がない人たち。「なんて羨ましい!」と思うでしょうが、誰もが順風満帆というわけではないようです。
もう終わりです…「退職金も貯金も2,000万円。年金も月15万円もらえる」60歳・定年退職サラリーマン「婚活に全力の定年生活」だったが一転、老後破綻の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

楽しい老後を夢見て、婚活に全力で取り組んでいたが

60歳で完全引退を選択した菅原さん。定年後は「婚活を全力で頑張る!」と意気込んでいました。元々、趣味らしい趣味もなかったという菅原さん。これではそもそも出会いすらないだろうと、ゴルフを始めたほか、料理教室にも通うようになったとか。

 

――ゴルフは何度かやったことはありました。料理教室は、この先もひとりで生きていかないといけない、となったときのために。そうならないよう、全力を尽くしますけどね。そこでも出会いがあるかもしれませんし

 

さらにマッチングアプリもインストール。「こんなに簡単に出会えるなら、もっと早く始めたらよかった」と悔やみつつ、婚活を楽しんでいました。タメニー株式会社が50~79歳の未婚男女を対象に行った調査によると、21.5%が「結婚相手・恋人がほしい」と回答

 

【独身ミドル・シニア世代の出会い】

・職場などの仕事関係…31.6%

・行きつけの店…11.5%

・趣味の集まり…11.3%

・友人や知人の紹介…8.2%

・SNSなどのオンラインのつながり…7.5%

・マッチングアプリ…7.1%

・学生時代のつながり…5.4%

・婚活パーティやイベント…1.7%

・親族の紹介…0.4%

・結婚相談所…0.2%

 

「老後はパートナーと楽しく暮らすんだ!」と、結婚に向けて全力疾走の菅原さんでしたが、突然の悲劇が襲います。慢性腎不全により、透析治療が必要になったというのです。厚生労働省『令和5年 患者調査』によると、慢性腎臓病で治療を受けている人は全国で66万人ほど、透析治療を受けている人は34万人ほどいます。

 

週に3回、定期的に治療が必要になった菅原さん。全力で婚活に取り組んでいましたが、「こんな男と結婚してくれる人なんていない」と悲観。楽しいはずの老後が一気に破綻してしまった……と、一時はふさぎ込んでしまったといいます。

 

治療をスタートさせてから半年ほどが経った今の状況は?

 

――一時期は悲観していましたが、今は治療のサイクルにも慣れてきました。これくらいの年になったら病気のひとつやふたつ、持っているはず。開き直って、また婚活を頑張ろうと思っています

 

[参考資料]

国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集 2024年版』

厚生労働省『令和5年 患者調査』

タメニー株式会社『独身ミドル・シニア世代の婚活・恋活に関するアンケート調査』