親の死や病気をきっかけに、夫婦間で「親との同居」や「介護」をめぐる意見の対立が起きるケースは少なくありません。特に義親との同居は、生活水準の変化や家事・介護負担の偏りへの不安から、夫婦の決定的な亀裂や離婚の引き金になることもあります。そうしたなか、住環境や子どもの学校事情などを理由に「離婚後も同居を続ける」という選択をする家庭も存在しますが、安易な決断には思わぬリスクが潜んでいます。本記事では、義母との同居を拒否した結果、夫から「離婚後同居」を提案された妻の事例をもとに、そこに隠された夫の経済的な思惑と、いよいよ来月(2026年4月1日)に施行が迫った民法改正を踏まえた注意点について解説します。(※登場する人物はすべて仮名です)
「離婚後も一緒に住もう」…月収54万円の41歳夫に三行半を突き付けられた月収38万円の39歳女性、夫が隠していた〈真の狙い〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

夫の「義母との同居」の提案に、妻がためらうワケ

サトミさんは、2歳年上の夫・ユウタロウさん(仮名/41歳)と娘のミオさん(仮名/13歳)との3人暮らしです。

 

夫婦ともにフルタイム勤務で、サトミさんの月収は約38万円、ユウタロウさんの月収は54万円。賞与を含め、世帯収入は年ベースで1,200万円ほどです。帰るタイミングは多少サトミさんのほうが早い程度ですが、家事はすべてサトミさんが1人で担っています。

 

サトミさんは「自分のほうが収入が低いため、家事を多く負担するのは仕方ない」と考え、子どもが小さいころの寝不足や日々の苦労も「仕事が大変なのはお互い様だから」とぐっと飲み込んできました。

 

3人が暮らすのは、郊外にある中古マンションです。間取りは3LDKで、娘の小学校入学を機に購入。価格は5,500万円で、ユウタロウさんの両親が頭金を援助してくれました。夫婦は35年のペアローンを組みましたが、年収の高いユウタロウさんのほうが負担割合は大きく、これもサトミさんが家事を引き受けてきた理由のひとつです。

 

表面的には穏やかな暮らしが続いていましたが、ユウタロウさんの父がガンにより急逝。その後ユウタロウさんから、次のような相談がありました。

 

「あのさ、母さんが一緒に住みたいっていってるんだよね。地方で1人きりはなにかと大変だろうし、いいよね? あの物置になってる部屋、ちょうど空いてるし」

 

サトミさんは普段控えめで、自分の意見を強く主張しないタイプ。ユウタロウさんと付き合っているときから、デートの行き先もその日の献立も、ほとんど夫の意向に合わせてきました。しかし、今回ばかりはすぐに頷くことができません。

 

「うーん……」