定年後も働く人が9割弱といわれていますが、働く理由のひとつが年金の受給開始までの間、無収入になるから。つまり「お金の不安さえなければ定年で仕事を辞める」という人が多いといえます。実際に定年で仕事を辞められる人は、お金の不安がない人たち。「なんて羨ましい!」と思うでしょうが、誰もが順風満帆というわけではないようです。
もう終わりです…「退職金も貯金も2,000万円。年金も月15万円もらえる」60歳・定年退職サラリーマン「婚活に全力の定年生活」だったが一転、老後破綻の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳で仕事を辞めても余裕…完全引退を決める

大卒で就職した建設会社で働き40年弱、60歳で定年を迎えた菅原博さん(仮名)。多くが60歳以降も働く選択をするなか、会社も仕事も完全に辞める決断をしました。

 

――気楽なひとり身ですし、退職金は2,000万円ほどもらえて、コツコツと貯金をしてきた、というよりも、特に使うこともなく自然と貯まった貯金も2,000万円ほどあります。年金も繰上げで月15万円ほど受け取れます。住宅ローンも払い終えていますし、もう働かなくても十分です

 

老齢年金の受給は原則65歳から。しかし希望すれば60~75歳の間で受け取ることができます。60~64歳と早く受け取るのが「年金の繰上げ受給」。1ヵ月早めるごとに0.4%ずつ、最大24%減額となります(昭和37年4月1日以前生まれの減額率は0.5%)。60歳定年の場合、年金受給開始までの5年、無収入となるのが最大の悩み。繰上げ受給で懸念を解消できるものの、年金が減るのは避けたい……結局、定年を迎える9割弱が「定年後も働く」を選択しています。

 

定年で仕事を辞める選択をした菅原さん、何とも羨ましい話です。定年後、どのような生活を?

 

――ひとつ心残りが……この年になって、やっぱり結婚しておけばよかったなと思っています。老後、ひとりはやっぱり不安です

 

【生涯未婚率の推移】

1950年:1.45%/1.35%

1960年:1.26%/ 1.88%

1970年:1.70%/3.33%

1980年:2.60%/4.45%

1990年:5.57%/4.33%

2000年:12.57%/5.82%

2005年:15.96%/7.25%

2010年:20.14%/10.61%

2015年:24.77%/14.89%

2020年:28.25%/17.81%

*45~49歳と50~54歳未婚率の平均値から算出した50歳時の未婚率

出所:国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集 2024年版』