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年間年金受取額20万円以下の高齢者…全国で70万人
給与が月16万円。手取りにすると13万円ほど。さらに年金を加えると、月15万円弱を手にしている丸山さん。生きていくには十分だといいますが、何かあったときのことを考えて普段は可能な限り節約して暮らしています。“ほぼお湯の雑炊”をすすっているのはそのため。
――仕方がない、好き勝手に生きてきた罰だよ
定職についた記憶はないという丸山さん。年金保険料も払ったり払わなかったり、だったといいます。そもそも国民年金は、20歳から60歳までの40年間にわたり支払い続ける制度です。たとえば、今年から老齢基礎年金の受給資格を得る65歳の方は、1980年に国民年金に加入しており、当時の保険料は3,770円でした。以降、保険料は徐々に引き上げられ、1993年には月額1万円を超えるようになりました。結果として、2020年に60歳を迎えるまでに支払った保険料の総額は約546万円に達します。現在の支給水準であれば、約80ヵ月以上の年金受給期間があれば、納付した総額を上回る給付を受けることが可能。令和7年度、老齢基礎年金は満額受給で月額69,308円、年額では83.1万円ほどを受け取ることができます。
また、厚生労働省の『令和5年 簡易生命表』によると、65歳から年金受給を開始して7年後の72歳時点で、生存率は男性80.9%、女性90.5%となっています。つまり、大多数の受給者が納めた保険料以上の年金を手にする可能性があるため、多くの専門家は日本の公的年金制度が有利であると評価しています。
一方、令和5年度の国民年金保険料の納付率は77.6%。最終的な納付率は85%弱になりそうです。しかし年金に依存して生活する高齢者のなかには、非常に少額の給付しか得られていない、またはまったく年金を受け取っていないケースも散見されます。厚生労働省の『令和5年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』によれば、65歳以上の無年金者は全国で49万0,909人。さらに年間20万円(月1万6,666円)未満の人たちも合わせると71.6万人ほどになります。
――こんなに長く生きるとは思ってなかったから、老後の生活なんて考えてなかった。最低限のことさえやっていれば、バイトを2つ掛け持ちしなくても生きていけたかもしれないな
今のところ、病院いらずの健康体というのが唯一の救いだといいます。
[参考資料]
厚生労働省『令和4年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』