婚姻期間が20年以上の熟年離婚が増えています。そんなまさかの出来事に直面するのは、サラリーマンの勝ち組であろうと、負け組であろうと関係ありません。悠々自適な老後のはずが一気に転落。どこまで落ちていくのかは、人それぞれのようです。
〈退職金4,200万円・年金月23万円〉65歳・元役員男性、勝ち組人生が一転、まさかの放浪生活へ。さらに転落が続き、悲鳴。きっかけは「年金機構からの通知」

住む家がないと放浪…さらに元夫を追い詰める元妻

住む家が見つからないという、思わぬ展開に陥った内田さん。しばらく、ビジネスホテルを転々とする日々が始まりました。10平米少々のベッドだけの部屋……これまでの暮らしとのあまりの落差に、思わず涙がこぼれそうになったといいます。

 

ようやく住む家が決まった矢先、さらに内田さんを追い込む出来事が起こります。それは、年金機構から届いた一通の書類。「標準報酬改定通知書」と書かれたもので、年金分割によって変更となった年金記録が記載されていたのです。実は妻は離婚後、「3号分割」を年金事務所に請求していました。

 

「3号分割制度」とは、離婚時に年金を分割する制度のひとつ。国民年金の第3号被保険者が対象となり、2008年4月1日以降の婚姻期間中における第3号被保険者期間について、相手の合意がなくても年金記録を2分の1ずつ分割することが可能です。分割請求は、離婚した日の翌日から2年を経過するまで行うことができます。その結果、内田さんの年金は3割ほど減少してしまい、手取りで月14万円程度に。

 

――別にこれで困ることはない

 

確かに財産分与により資産は大きく減ったものの、8,000万円近くの貯金があります。強がりではなく、経済的に困ることはないでしょう。ひとり身とはいえ、悠々自適な老後を過ごすことができるでしょう。しかし、離婚後も追い詰めてくる妻。「どこまで嫌われたんだ、俺は……」と精神的なダメージがあまりにも大きいといいます。

 

[参考資料]

厚生労働省『令和4年度 離婚に関する統計の概況』

株式会社R65『高齢者向け賃貸に関する実態調査(賃貸オーナー向け)』

株式会社R65『高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)』