子ども1人につき教育費の目安は約1,000万円といわれるなか、親への恩返しと仕送りを続ける人たちも。ただ問題になるのが「いつまで親に仕送りを続けるのか」。当然、子どもたちも年を取り、老後に備えなければなりません。これ以上仕送りを続けるのは難しいと判断したとき、果たして……。
〈退職金2,000万円〉〈年金想定月17万円〉60歳定年サラリーマン、遠方の母への仕送り40年「もうこれ以上お金は…」にかぶせて言い放たれた〈年金月14万円・83歳母〉の戦慄のひと言 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳を迎えるサラリーマン…定年後の給与は?

大学を卒業し、40年近く働いてきた会社で定年を迎える原浩一さん(仮名・60歳)。新卒時はバブル景気のはじめで、大卒初任給は15万円弱。結婚したのはバブルが弾けたあとの28歳のとき。2児が誕生し、幸せも絶頂期。

 

世界中がミレニアムで湧いているころにはマイホームを購入。3,000万円・30年返済の住宅ローンで、月々の返済は11万円ほど。家計を助けるために、奥さんはパート勤めを始めたのはこのころ。

 

2人の子どもはともに大学進学。教育費の負担から解放されたのは55歳のとき。住宅ローンは繰り上げ返済をして、9年ほど早く、定年間際に完済しました。

 

紆余曲折ありながらも、順調にサラリーマン人生。定年後は再雇用で契約社員として引き続き働く予定です。ただ給与は大幅に減少し、月収は55万円から28万円ほどに減ることがわかっていました。

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、50代後半の大卒サラリーマンの給与を100%とすると、60歳定年を機に85%に減少。さらに正社員から非正規社員となると60%に減少。さらに定年前には役職者で、定年後は契約社員となると、その減少幅はさらに大きくなります。


 

【大卒サラリーマン・定年前後の給与の変化】

55~59歳…正社員:53.2万円/879.1万円

60~64歳…正社員:44.9万円/690.1万円、非正規社員:31.9万円/498.6万円

65~69歳…正社員:44.09万円/613.6万円、非正規社員:30.6万円/434.7万円

 

定年を機に受け取る退職金は2,000万円ほど。また毎年誕生月に受け取れる「ねんきん定期便」によると、65歳には月18万円ほどの年金を受け取れそうです。60~65歳まで厚生年金に加入していれば、そのぶん、年金受取額は増えるはず。それでも老後のことを考えると不安がつきまといます。5年間は資産形成に注力し、貯金額は2,000万円程度にはしたいと考えていました。

 

【60代の貯蓄額の分布】

500万円未満…24.8%

500~700万円未満…9.2%

700~1,000万円未満…8.4%

1,000~1,500万円未満…8.7%

1,500~2,000万円未満…6.8%

2,000~3,000万円未満…12.0%

3,000万円以上…26.0%

出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』