いつの時代も、嫁と義母の仲は微妙なもの。なかには、やむを得ない理由で同居しているケースも珍しくありません。日々溜まっていくストレス。それに耐えかねて老人ホームへの入居を決断する人も。ただ「終の棲家が見つかった」と安堵のため息をついても、それで安心ということではないようです。
「もう家に帰りたい」と号泣…年金月18万円・78歳義母「あんたの世話にはならないよ」と52歳嫁に強気の捨て台詞も、老人ホーム入居からわずか3ヵ月で泣きついた〈とんでも理由〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

義父が亡くなり、ひとりになった義母との同居生活がスタート

柴田直美さん(仮名・52歳)。2年前から義母(仮名・78歳)と同居しています。きっかけは義父の死。義実家でひとり暮らしとなる義母に対して、義兄弟たち(息子たち)は不安を口にします。話し合いの末、義兄弟のなかでも、義母と同じ市内に住んでいる長男である直美さんの夫が、義母に同居を提案することになりました。

 

――もちろん夫からは事前に相談がありましたよ。年寄りをひとりにできない……そんな思いに対して、人として嫌とはいえないですよね

 

【親との同居状況】

夫の母親と同居…10.6%

夫の父親と同居…7.7%

妻の母親と同居…5.3%

妻の父親と同居…4.2%

出所:国立社会保障・人口問題研究所『第7回 全国家庭動向調査(2022年)』

 

義母との関係は、はっきりいってよいとはいえません。同じ市内に住んでいるとはいえ、顔を合わせるのは年に2、3回。価値観が合わない……ただそれだけではありますが、余計な衝突が起きぬよう、最低限のコミュニケーションにとどめていたといいます。

 

Q.義両親との関係は?

・とても良い…26.2%

・まあ良い…60.0%

・やや悪い…9.4%

・悪い…4.4%

出所:株式会社AlbaLink

 

義実家は売りに出され、義母との同居がスタート。ほとんど使うことのなかった1階の客間が義母の部屋になりましたが、幸い、日常の動線上から外れているため、同じ家とはいえ、必要以上に顔を合わせることはありませんでした。しかし、不思議なことに同じ屋根の下で暮らしているからでしょうか。日常生活のなかで少しずつストレスは積み重なっていき、イライラを隠せないときも。同居から2年が経ち、最初に音をあげたのは義母でした。

 

――もう無理。ここでは暮らしていけない

 

義母はいつのまにか見学にもいったという老人ホームへの入居を決断。入居金は500万円。月額費用は18万円の介護付き有料老人ホーム。年金月14万円だという義母。自宅の売却金なども考慮したら、計算上、100歳を超えても入居していられると、費用面では懸念なし。介護を必要としていない人も受け入れていて、もちろん介護が必要になっても安心。ここであれば自分の力で最期まで生きられると考えていたのです。

 

何よりも気に入ったのが料理だといいます。試食のとき、出汁のきいた味付けに感動したのだとか。基本、家では直美さんが作った料理を食べていた義母。やれ油っぽい、やれ塩辛いなど、文句ばかりいっていました。聞こえるか、聞こえないかのボリュームで。直美さんも「口に合わないなら、食べなきゃいいのに」と不満を募らせていました。

 

――もうあんたの世話にはならないよ

 

そう強気の捨て台詞とともに、義母は老人ホームに入居していきました。