(※写真はイメージです/PIXTA)
夫急逝にショック…泣きつかれたあとに襲われる老後不安
岡本智子さん(仮名・65歳)。夫・浩さん(仮名・享年67歳)を亡くしました。その日は、いつもと同じ朝でした。浩さんは所属している地域のサークルに参加するため外出。「いってきます」の言葉が最後だったといいます。
――いつも活動しているコミュニティセンターに来ないと連絡を受けたんです。その直後くらいでしょうか、救急車で運ばれたと
コミュニティセンターに向かう途中に倒れ緊急搬送されたものの間に合わず……急性心筋梗塞でした。
【65歳以上男性「心疾患」の死亡者数の推移】
2000年:7万2,156人
2005年:8万3,979人
2010年:8万8,804人
2014年:9万2,279人
2015年:9万2,146人
2016年:9万3,453人
2017年:9万6,330人
2018年:9万8,035人
2019年:9万8,210人
2020年:9万9,304人
2021年:10万3,700人
2022年:11万3,016人
2023年:11万3,133人
※出所:厚生労働省『人口動態統計』
突然の訃報のショックで、あまり記憶がないという岡本さん。葬儀などはすべて子どもたちが段取り。浩さんが亡くなったことを実感したのは、葬儀などがすべて終わり、ひとりポツンと残されたとき。「いってきます」の最後の言葉に、きちんと「いってらっしゃい」と答えただろうか……そんな思いから慟哭したといいます。
ただひと通り泣いたところで急に不安に襲われます。老後のこと、これからのこと、きちんと浩さんと話し合ったことがなかった智子さん。「これからきちんと暮らしていけるのか」。まずは当面のお金のことが気になりました。
智子さん自身、月14万円の年金を受け取っています。手取りにすると12万円ほど。とりあえず、生活資金は何とかなりそうです。さらに預貯金も1,500万円ほどあります。「ひとりなら、これで十分」とホッとしたといいます。そんなとき、線香をあげに来た親戚から「早く、遺族年金をもらいなさい」と促されたといいます。
智子さん、遺族年金という存在は知っていたものの、何なのかはよく理解していませんでした。その親戚も先に夫が亡くなり、今は遺族年金と自身の年金で暮らしているといいます。
――お父さん(=夫)の年金の4分の3がもらえるから。きちんと手続きしないと損よ
Q.死亡したときに遺族が受け取る公的年金である「遺族年金」の仕組みがあることを知っていますか。
■遺族年金の仕組みを知っている…77.3%
■遺族年金の仕組みを知っている男性…71.7%
・60代男性…81.0%
・70代男性…78.0%
■遺族年金の仕組みを知っている女性…82.2%
・60代女性…83.9%
・70代女性…82.6%
※出所:内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』
亡くなった浩さんは月19万円ほどの年金を受け取っていました。「単純計算、月14万円ほどの遺族年金がもらえるはず。確かにこれは大きい」と、早速、年金事務所に手続きに訪れたという智子さん。しかし、そこで聞いた遺族年金額は想像よりもはるかに少ないものでした。