(※写真はイメージです/PIXTA)
50代後半に資産形成を加速。住宅ローン完済を目論んでいたが…
ローン返済は残り20年ほど。それを12年ほどで返すとなると、結構、スピードアップしなければなりません。ただ藤井さんには確証がありました。近ごろ念願だった課長に昇進。それまで給与は月収で45万円、年収で750万円ほどでしたが、昇進後は月収で60万円ほど、年収が1,050万円ほどと300万円もアップしました。
【大企業・役職別平均給与「大卒・40代後半サラリーマン」の場合】
役職なし…42.4万円/745.0万円
係長級…40.0万円/704.0万円
課長級…60.4万円/1,028万円
部長級…77.5万円/1,296.0万円
※出所:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』
――高校生の息子たちの教育費はこれから増えていきますが、教育費が片付いたら今度は自分たちの老後に向けて資産形成を加速させて、ローンも完済する。そんな青写真を思い描いていたんです
藤井さん、歯切れが悪くなったのには理由がありました。想定外の出来事で、思い描いていたプランが崩れてしまいそうだというのです。
――実は長女に子どもが生まれまして……48歳にして初孫が生まれました
「子どもができた、結婚を許してほしい」と長女から打ち明けられたときは、あまりの衝撃に言葉を失ったといいます。すでに産むしかないというタイミング。相手の男性はサークルの先輩で、大手情報処理会社への就職が決まっています。一方長女自身は大学を一時休学、出産後に復学して卒業を目指すといいます。
親になるにはあまりに幼稚な考え方。だからといって反対するわけにもいかず、「結婚も出産も許すが、経済的な援助は一切しない。親になるのならふたりで責任をもて」と、わざと遠ざけました。しかし藤井さん、このままで終わらないことはわかっています。
――初孫ですよ、絶対にかわいいじゃないですか。大学を卒業したいという子どもも応援したい……甘いといわれても、結局はお金を出してしまうことは、わかっているんです、自分のことなので
55歳になる前に子育ては完了。残り5年で一気に資産形成を加速させ、ローンも完済する。そんな青写真は早々に崩れてしまいました。50歳前に初孫。子どもたちのこれからを考えると、孫の面倒もそれなりに任されることは覚悟しなければなりません。老後に向けての資産形成もままならず、生活のために定年後も愚か、65歳になっても、70歳になっても働かないといけないのだろうか……そんな老後を想像すると、ときにため息も。それでも「子どもや孫に翻弄される未来も幸せと思うしかない」と思い込もうとしているといいます。
[参考資料]