親と離れて暮らしていると顔を合わせるたびに年老いていく親の姿に驚き、心配がどんどん大きくなっていくもの。親は親で子どもに心配をかけるものではないと気丈にふるまうのも定番です。そんな親から緊急電話。思わず、ドキッとしてしまう展開で語られることとは?
庭付き一戸建てなんて意味なかったな…〈月収56万円〉家族第一主義の48歳サラリーマンが肩を落とす、マイホーム購入「15年後の大後悔」 (※写真はイメージです/PIXTA)

本当に「広い庭」は必要だったのか?戸建て実現から15年目の結論

土地代+建物で5,500万円。1,000万円を頭金に、4,500万円は住宅ローンの35年払い。月々のローン返済は月に11.5万円。当時の徹さんの月収は38万円ほど。返済負担率は30%となり、とても徹さんだけの収入だけでは家計は火の車なので、妻もパートに出て家計を支えました。

 

あれから15年。夢のマイホームでの生活とは?

 

――収入も増えたので、ローンの返済負担はそれほどでもありません。繰上げ、繰上げで返済していって、あと10年ほどで完済できそう

 

現在の徹さんの月収は56万円ほど。返済負担率は20.5%と、徹さんの給与だけでもローン返済の適正値。さらに妻はパートを続け、繰上げ返済に貢献しています。ただ、夢のマイホーム。今となっては「こだわっても意味なかったな」ということがいろいろとあるといいます。

 

なかでも大きいのが「子どもと犬がのびのび遊べる広い庭」。周辺は今なお畑も残る住宅街。自宅の庭よりも広い遊び場がそこら中にあります。さらに子どもたちが庭で遊ぶのは小学生低学年まで。以降は庭で遊ぶことはなく、ただ広い庭の使い道は、夏の間、1、2度、バーベキューをするくらい。しかも、長男が上京してからは1度も「庭でバーベキュー」はしていないといいます。

 

もし「広い庭」にこだわらなければ、もっと会社近くに家を建てられたんじゃないか。そんな思いも。さらに長男の大学進学が決まったとき、自宅から通うか、それとも下宿するか、話し合いがもたれました。通学時間は片道2時間強。徹さんの通勤時間をさらに上回ります。

 

「そんなに通学に時間をかけたくない。下宿させてほしい」と長男。仕送りできる額にも限界があるので、アルバイトをして補填することを条件に下宿を認めたといいます。

 

全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』によると、大学下宿生の1ヵ月の仕送り額は平均7万0,120円(2023年)。1年で84万円、4年でストレートで卒業したとして336万円……これはマイホームを購入する際に「広い庭」にこだわったからこその出費といえるでしょうか。

 

――そもそも、もっと東京の近いところに家を建てたら、長男は自宅から大学に通っていたでしょう。そうしたら仕送りもしなくていいですよね。さらに長男がひとり暮らしをしたので、きっと次男もひとり暮らしをしたいというでしょう。すべての元凶が「広い庭」にこだわったからと考えると、気が滅入ってしまいますね

 

「家の購入は目先のライフスタイルだけじゃなく、先々のライフプランも考慮して決めることをおすすめします」。マイホーム購入で後悔を口にしている人から、マイホーム購入予定者に向けてのアドバイスです。

 

 

[参考資料]

アットホーム株式会社『一戸建て購入者の視点から探る理想の住まい探し調査』

全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』