
本当に「広い庭」は必要だったのか?戸建て実現から15年目の結論
土地代+建物で5,500万円。1,000万円を頭金に、4,500万円は住宅ローンの35年払い。月々のローン返済は月に11.5万円。当時の徹さんの月収は38万円ほど。返済負担率は30%となり、とても徹さんだけの収入だけでは家計は火の車なので、妻もパートに出て家計を支えました。
あれから15年。夢のマイホームでの生活とは?
――収入も増えたので、ローンの返済負担はそれほどでもありません。繰上げ、繰上げで返済していって、あと10年ほどで完済できそう
現在の徹さんの月収は56万円ほど。返済負担率は20.5%と、徹さんの給与だけでもローン返済の適正値。さらに妻はパートを続け、繰上げ返済に貢献しています。ただ、夢のマイホーム。今となっては「こだわっても意味なかったな」ということがいろいろとあるといいます。
なかでも大きいのが「子どもと犬がのびのび遊べる広い庭」。周辺は今なお畑も残る住宅街。自宅の庭よりも広い遊び場がそこら中にあります。さらに子どもたちが庭で遊ぶのは小学生低学年まで。以降は庭で遊ぶことはなく、ただ広い庭の使い道は、夏の間、1、2度、バーベキューをするくらい。しかも、長男が上京してからは1度も「庭でバーベキュー」はしていないといいます。
もし「広い庭」にこだわらなければ、もっと会社近くに家を建てられたんじゃないか。そんな思いも。さらに長男の大学進学が決まったとき、自宅から通うか、それとも下宿するか、話し合いがもたれました。通学時間は片道2時間強。徹さんの通勤時間をさらに上回ります。
「そんなに通学に時間をかけたくない。下宿させてほしい」と長男。仕送りできる額にも限界があるので、アルバイトをして補填することを条件に下宿を認めたといいます。
全国大学生活協同組合連合会『第59回学生生活実態調査』によると、大学下宿生の1ヵ月の仕送り額は平均7万0,120円(2023年)。1年で84万円、4年でストレートで卒業したとして336万円……これはマイホームを購入する際に「広い庭」にこだわったからこその出費といえるでしょうか。
――そもそも、もっと東京の近いところに家を建てたら、長男は自宅から大学に通っていたでしょう。そうしたら仕送りもしなくていいですよね。さらに長男がひとり暮らしをしたので、きっと次男もひとり暮らしをしたいというでしょう。すべての元凶が「広い庭」にこだわったからと考えると、気が滅入ってしまいますね
「家の購入は目先のライフスタイルだけじゃなく、先々のライフプランも考慮して決めることをおすすめします」。マイホーム購入で後悔を口にしている人から、マイホーム購入予定者に向けてのアドバイスです。
[参考資料]