2023年の日本国内の婚姻件数は約47万件。一方で離婚数は約17万件。毎年、毎年、多くのシングルマザーが誕生しています。その暮らしは厳しい場合が多いようですが、わざわざ物価の高い東京に出てくるシングルマザーも。そこには切実な理由がありました。
〈手取り月18万円〉東京中央区・築45年のマンションに住む「32歳2児のシングルマザー」。生活苦でも都会のど真ん中にこだわる切実理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

都会の真ん中で生きるシングルマザー…生活は厳しい

東京はシングルマザーをはじめ、子育て世帯の支援が充実していて助かっているといいますが、それでもシングルマザーに対しての風当たりは強いと感じることも。

 

――やはり、経済的にはひとり親は厳しいですよね。そんなことを吐露すると、わざわざ物価の高い都会で暮らさなくても物価の安い地方に行けば、といわれることも。地方は地方で大変なんですけどね

 

地方だと、子どもたちを預けられるところも少ないし、仕事も少ない。また加藤さんは子どもたちを大学まで行かせたいといいますが、地方では選択肢が少ない。万一、進学のために上京となると下宿代まで仕送りしてあげられる自信がない……先々を見越して、上京するほうがメリットがあると判断したといいます。

 

それでも、シングルマザーの家計はいつも火の車。現在、契約社員として働いているという加藤さんの月収は23万円。手取りにすると18万円ほど。ほかにひとり親に対する給付金を月5万円ほど受け取っています。現在の住まいは、築45年のマンションで、広さは1DK、家賃は月9万円ほど。家賃を抑えるために、公営団地への入居も検討しているといいますが、職場と保育所を考えると立地がネックで躊躇しています。

 

――今は生活が厳しいですが、会社から正社員にならないか、という誘いを受けていて。下の子が小学校にあがるタイミングでまだ正社員になれそうなら、なりたいと思っています。そうしたら、今よりも生活は安定するはず。子どもたちには、片親という負い目を感じてほしくないので、頑張っていきます

 

都会の真ん中でたくましく生きる加藤さん。ただシングルマザーの置かれて状況は厳しいものがあります。厚生労働省が2023年に行った調査によると、養育費の取り決めを行っていない母子世帯は46.7%と約半数。取り決めをしていない最も大きな理由は、「相手と関わりたくない」が34.5%、「相手に支払う意思がないと思った」が15.3%、「相手に支払う能力がないと思った」が14.7%と続きます。さらに養育費の取り決めを行ったとしても、「現在も受け取っている」はわずか28.1%。シングルマザーが生活苦に陥る要因のひとつになっています。

 

未払いの養育費に対しては、法的手段を講じることが重要です。また最近の法改正により、養育費の取り決めがない場合でも一定額を請求できる制度の導入が検討。養育費の未払い問題が改善方向に向かうことが期待されています。

 

 

[参考資料]

出所:裁判所『令和5年司法統計年報』

出所:厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』