40年近く、都会の波に揉まれた働いてきた会社員。定年後は、静かな田舎や郊外で暮らしたい……そんな思いを抱いている人も多いでしょう。実際に夢を実現する人も珍しくはありません。しかし、実現した夢が理想通りかといえば、そういうわけではないようです。
〈年金月35万円〉〈退職金3,600万円〉の定年夫婦、千葉・南房総で田舎暮らしを始めるも大惨事。原因は右隣に引っ越してきた賑やかファミリー「もう、いい加減にしてくれ!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働き、ともに正社員の定年夫婦が実現した田舎暮らし

清水智明さん(仮名・65歳)・幸子さん(仮名・66歳)夫婦。智明さんが60歳で定年を迎えたあと、千葉・房総にセカンドハウスを購入し、田舎暮らしをスタートさせました。元々住んでいた東京の持ち家は貸し、家賃収入を得ているといいます。引越し前に貯めたお金は、およそ4,000万円。そのうち2,000万円でコンパクトな平屋を購入。家の広さは2LDK。夫婦で住むには十分な広さだといいます。

 

老後は都会の喧騒を離れて、ゆっくりと田舎暮らし……そんな夢を抱く人は多いですが、実現の前に立ちはだかるのは、やはりコストの壁。清水夫妻の場合、共働きでともに正社員。退職金は2人合わせて3,600万円ほどになり、また65歳から受け取っている年金も2人合わせて35万円と、老後資金は潤沢。いずれは生活するのに便利な東京に戻ってくるかもしれないが、それまではのんびりと田舎暮らしをしよう、と一大決心をしたといいます。

 

――元々別荘地用に開発されたのかもしれないけど、周辺には家も多く、日常品をいろいろと買えるスーパーへは車で5分とかかりません。高台に建っているので、里山の風景が眼下に広がり、その向こうには海を見渡せる。利便性も兼ね備えていて、私たちにとってはちょうどいい田舎ですね

 

【高齢者の住み替え:意向と住み替え先】

■高齢者の「住み替え」の意向

住み替えの意向あり…5.8%

状況次第で将来的に検討したい…24.6%

住み替え意向なし…69.6%

 

■住み替え先として考えている場所の都市の規模関係

現在の居住地と同程度の規模の都市への住み替えを希望…58.5%

現在の居住地よりも規模の大きな都市への住み替え希望…17.2%

現在の居住地より規模の小さな都市への住み替えを希望…13.9%

※出所:内閣府『令和6年版高齢社会白書』

 

四季折々の自然を楽しみながら、ガーデニングを楽しんだり、ウォーキングを楽しんだり……まさに夢にみた田舎暮らしを実現させたといいます。