いつまで続くか物価高。一方で物価高分だけ年金が増えるわけはなく、高齢者の暮らしは厳しさを増しています。特に厳しさにさらされるのは低年金の高齢者たち。生きていくのもしんどい……という暮らしとは?
ゴミを拾って月4万円です…〈年金月5万円〉の79歳男性、70代を前に借金完済も〈家賃2万5,000円〉〈1食32円〉の毎日に「生きていくのもしんどい。」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高止まりする米の値段に辟易…どう生きていけと?

高齢者の生活において、考えておくべきは住まい。持ち家であれば問題ありませんが、賃貸の場合、なかなか貸してもらえなくなります。

 

R65不動産が行った調査によると、高齢者の26.8%が年齢を理由に賃貸住宅への入居拒否を経験。また5回以上断られた経験のある人は11.9%いました。また高齢者の入居を受け入れていない賃貸オーナーは41.8%にものぼり、積極的に受け入れているオーナーは19.0%にとどまりました。

 

中田さんの場合、長く公営住宅に住んでいるといいます。家賃は1DKで2万3,000円。築40年を過ぎ、古さが目立ちますが、それでもありがたいといいます。

 

――ここは高齢者向けの住宅で、優先してくれるんだよ。安心して暮らせる住まいがあるなんて、いまどき恵まれているのかもしれないね

 

とはいえ、月10万円ほどでやりくりをしなければならず、生活に余裕はほぼありません。食事は「白米、以上」で終わらせ、切り詰めているといいます。米5キロ3,000円とすると、1食あたり30円ほど。

 

――ちょっと醤油かけたり、塩ふったりする。味があれば満足できるもんだよ。お金に余裕があるときは玉子を買ったり、納豆を買ったり。おかずがある日は、豪華なだな

 

そんな中田さんを悩ませているのが、昨今の物価高。特に米は昨夏の騒動で値上がりしたまま、高止まりの状況が続いています。

 

――新米が入ってきたら値段は下がるとかいっていただろ。でも下がる気配なんてない。米が買えなくなったら、どうやって生きてけっていうんだよ、まったく

 

【米5㎏の価格(コシヒカリ除く)】

2019年11月…2,173円

2020年11月…2,143円

2021年11月…2,040円

2022年11月…2,028円

2023年11月…2,157円

2024年11月…3,627円

出所:総務省『小売物価統計調査統計調査』

 

79歳。昔のように機敏に動くことはできませんが、今のところ病院知らず。というよりもお金がなく、どこか痛くても我慢が基本。

 

――もしかしたら、もう手遅れ、かもな(笑)でもぽっくりいったほうが、楽かもしれない。生きるって、本当にしんどいよ

 

 

[参考資料]

R65不動産『高齢者向け賃貸に関する実態調査(賃貸オーナー向け)』

R65不動産『高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)』

総務省『小売物価統計調査統計調査』