いつまで続くか物価高。一方で物価高分だけ年金が増えるわけはなく、高齢者の暮らしは厳しさを増しています。特に厳しさにさらされるのは低年金の高齢者たち。生きていくのもしんどい……という暮らしとは?
ゴミを拾って月4万円です…〈年金月5万円〉の79歳男性、70代を前に借金完済も〈家賃2万5,000円〉〈1食32円〉の毎日に「生きていくのもしんどい。」 (※写真はイメージです/PIXTA)

収入は月10万円強…低収入、それでも税金や保険料はとられる

中田勝利さん(仮名・79歳)。市のシルバー人材センターで紹介してもらったゴミ拾いの仕事を続けています。稼働は週2回で、時給は1,350円。月に4万円ほどの収入になるといいます。

 

高校卒業後、個人商店をやっていた父親の手伝いをするようになった中田さん。40代のときに正式に店を受け継ぎます。しかし中田さんが50代になった2000年代。近隣に大規模なスーパーが誕生すると、業績は一気に下降。廃業へと追い込まれます。負債から解放されたのは、70代前。ちょうどアベノミクスと騒がれていたときだといいます。現在の収入は月4万円のアルバイト代と、月6万8,000円の年金、合わせて11万円ほど。

 

――他の人と比べたら微々たるもんだけど、しっかりと税金とか保険料をとっていくからね、国は。厳しいよ、世の中

 

年金支給時に年金から差し引かれるものには「所得税」「住民税」「介護保険料 」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」があります。

 

所得税は65歳以上の場合、総所得110万円以下は非課税となります。また48万円の基礎控除を受けることができるため、65歳以上であれば総所得158万円以下であれば所得税や住民税は課税されません。

 

住民税には「所得割」と「均等割」があり、「所得割」は所得税の計算結果に基づくため、総所得158万円以下であればかかりません。「均等割」は民税の課税対象となる人が均等に納付する必要があるもの。「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」は、総所得45万円以下であればかかりません。

 

介護保険料や国民健康保険料、後期高齢者医療保険料は市区町村によって異なりますが、年金額が年間18万円を超えると年金から天引き、18万円以下の場合は市町村から送付される納付書で支払いをします。また、低収入で生活が困難な場合は減免措置が受けられる場合もあります。