(※写真はイメージです/PIXTA)
どんな10代を送りましたか?
ずっと勉強をがんばっていました。親の希望する大学を目指しました。
小学生から塾に通い始めて、偏差値も割と高かったので中学受験をし、中高一貫の進学校に入りました。成績は中の上くらいでした。親は昔から「〇〇大学くらい入ってくれたら」と言っていたので、そうしたほうがいいのかなと思っていました。まわりに頭のいい子が多かったので、私も後れをとらないようにがんばりました。
なにかをするより勉強しているほうがラク。高校生になって特進コースに進みました。部活やアルバイトをやっている子もいなかったので、私もやらずに勉強していました。勉強をしていると親は納得してくれました。うるさいことも言われなかったので、そのほうがラクだったのです。
仲の良い友だちはいましたか?どんなつき合いをしてきましたか?
友だちはいました。ただ、なんでも話すほどではなかったです。遊ぶときや一緒になにかをするときに、自分の意見や希望を言うことが苦手で、いつも相手に合わせてしまうクセがありました。頼まれたり、誘われたりすると断ることができなくて、ときどき友だちといることにとても疲れました。
友だちからはいつも頼られていました。あまり親しくない子からも、ノートを貸してと頼まれました。でも自分から友だちに頼るのは苦手でした。頼ったら面倒だと思われるのではないかと思っていました。自分の悩みなどを相談することもありませんでした。その子たちとは大学に行ってからは疎遠になりました。いまはクラス会で会うくらいです。
どこで自分はつまずいたのだと思っていますか?
大学に入ってから、サークルもアルバイトも、就活もうまくいかなくなりました。うまくいかない原因がわからなかったです。
希望していた大学に入り、親は私に関心をもたなくなりました。やってみたかったアルバイトやサークル活動を始めました。でも、どちらにも馴染むことができませんでした。新しい人間関係を築くのが難しくてやめてしまいました。3年の後半から就職活動が始まりました。まったくうまくいかず、でも、なにが原因で面接で落とされるのかがわかりませんでした。
パニック症、うつ病に…
ある日、電車に乗っていたときに過呼吸になりました。呼吸ができなくなる恐怖を覚え、大学の保健センターに駆け込みました。心療内科への受診を勧められ、通院するようになりました。将来への漠然とした恐怖と不安で、4年生の夏にうつ病と診断されました。うつは治り、就職もしましたが、ストレスがかかるとたびたびパニック症を起こしていました。
村上伸治
精神科医