厚生労働省の調査によると、60歳の定年を迎えたとき、退職を選択した人は12.7%。9割弱がそのまま会社で働くことを選択しています。働き続ける理由は人それぞれですが、働くには厳しい環境というケースも珍しくないようです。
〈退職金3,600万円〉永年勤続を贈られた大手メーカーの副部長、60歳定年で再雇用となったが「いつまでも上司面」と嫌悪される厳しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

再雇用サラリーマン、現役社員からの評価

定年を境に、再雇用で働くことのメリットとデメリットを教えてくれた斉藤さんですが、さらに「現役社員との確執」をデメリットとして挙げてくれました。

 

――私も定年前に感じていましたが、現役社員からしたら昔の上司なんて邪魔なだけ。少なからず「早くどっかに行ってくれ!」と思っているもんですよ

 

斉藤さん自身、現役社員とは比較的うまくやれているとは思っているものの、全員が再雇用社員のことを好意的に受け止めているわけではありません。聞きたくなくても聞こえてくるのは、心をえぐるような陰口。

 

「責任も権限も減ったのに、いつまでも上司面。偉そうな態度は変わらないよね」

元上司が以前の役職に基づいて、現役社員に対して上から目線で接することに対する不満

 

「昔の栄光にしがみついて、時代遅れの仕事のやり方を押し付けてくる」

過去の経験を基にした指導が、現代の業務に合わないと感じる現役社員からの批判

 

「若手の邪魔になってるだけじゃない? 新しいアイデアを潰してばかり」

現役社員が提案する新しい方法やアイデアに対して、元上司が否定的であることへの不満

 

「若手の育成より、自分の居場所作りに必死」

役職、肩書がなくなったことへの焦りを感じさせることに対して、滑稽な姿に唖然

 

ずいぶんとヒドイいわれようだな……と思いつつ、若い人が年上に抱く当たり前の感情と思い、完全スルー。このあたり、40年近くサラリーマンをやってきた経験が生きていると笑います。

 

定年社員と現役社員との間に広がる高い壁。会社としてもメリットはなにもなく、「公平な評価と処遇システムの導入」や「コミュニケーションの強化」など、さまざまな施策でこの壁を壊そうとしていますが、完全に壁をなくすのは難しそう。そのような環境下で働き続けるには、現役時代とは違った忍耐力が必要です。

 

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[関連資料]

厚生労働省『令和5年高年齢者雇用状況等報告』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

独立行政法人労働政策研究・研修機構『高年齢者の雇用に関する調査 (企業調査)について 【速報値】』