「モンスター・ペアレント」「毒親」に加え、近年問題視されているのが「ヘリコプター・ペアレント」です。まるでヘリコプターがホバリングするように、常に子どもの行動を監視し、少しでも問題があると見るや否や、すぐに駆けつけて過剰に干渉する親。それが「ヘリコプター・ペアレント」です。本記事では中内玲子氏の著書『シリコンバレー式 世界一の子育て』(フローラル出版)より一部を抜粋・再編集し、さまざまな形態でモンスター化する親と、適切な幼児期の子育てについて解説します。
ジャングルジムでは遊ばせない…巷でじわじわ増殖する「新形態の“モンスター化”した親たち」

アジアに多いタイガー・マザー

もう一つ、アジア圏の親がなりやすいのが「タイガー・マザー」です。日本でも『タイガー・マザー』(朝日出版社)という本が話題になったようです。この本には、中国人の母親が2人の娘を超管理教育で育てる様子が描かれています。テレビやゲームはおろか、お友だちを家に呼んで遊ぶことも禁じ、成績はオールA以外は認めない、バイオリンとピアノ以外の楽器は認めないなど、かなり強烈です。

 

今はだいぶ変わったように思いますが、チャイニーズの子育ては「タイガー・マザー」の傾向があります。子どもの進路も就職も親が決める。幼い頃から習い事や塾にたくさん通わせる。親は子どもの教育のために働き、子どもはそれに感謝して従うべき。親の言うことに間違いはない。すべて親の言う通りにするのが当たり前の子育てなのです。

 

東洋の教育には儒教の考え方が影響しています。儒教には、親や年配者を敬う、知識や知恵を尊ぶ、人を愛して思いやるというすばらしい教えがあります。その価値観がいつしか、「知識偏重」で「親の期待通りに育てば親孝行」という極端な解釈になったのかもしれません。

 

一方、西洋では「子どもの自立や主体性」を重んじています。西洋では、できることをほめて伸ばし、できないことは指摘はしても責めません。できないことを責めてばかりいると、子どもの自尊心を傷つけ、パフォーマンスが下がりますし、何より主体性が育たなくなるからです。

 

 

中内 玲子

日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool

創立者