「モンスター・ペアレント」「毒親」に加え、近年問題視されているのが「ヘリコプター・ペアレント」です。まるでヘリコプターがホバリングするように、常に子どもの行動を監視し、少しでも問題があると見るや否や、すぐに駆けつけて過剰に干渉する親。それが「ヘリコプター・ペアレント」です。本記事では中内玲子氏の著書『シリコンバレー式 世界一の子育て』(フローラル出版)より一部を抜粋・再編集し、さまざまな形態でモンスター化する親と、適切な幼児期の子育てについて解説します。
ジャングルジムでは遊ばせない…巷でじわじわ増殖する「新形態の“モンスター化”した親たち」

ヘリコプター・ペアレントになっていませんか?

子どもに対して過保護になったり、子どもの遊びや勉強だけでなく、お友だちとのつき合いまで干渉したりする親を「ヘリコプター・ペアレント」と呼びます。

 

ヘリコプター・ペアレントは、子どもが困ったらすぐに救出するために、子どもとの頭上をホバリングするようにして待機しています。子どもが傷ついたり、がっかりしたり、不快な思いをしたりすることがない、つねに安全で快適な世界をつくろうとしているのです。

 

・子どもが困っていたらすぐに手を貸し、問題を解決する

・子どもが失敗しないように先回りする

・怪我をしそうな遊びはさせない(ジャングルジムやうんていなど)

・子どもにとってよくないと思う遊びやお友だちは遠ざける

・子どもがお友だちとケンカをしたら、親が解決する

・大事なことは判断を間違えないように親が決める

 

これらに思い当たることがあれば、あなたもヘリコプター・ペアレントかもしれません。「子どもは親がきちんと育てるべき」「親の顔が見てみたい」という文化の日本には、このタイプの子育てをしている方が多いと感じます。「子どものため」という親心が、自分でも気づかないうちに過保護になることもあるでしょう。

 

けれど、あれこれと手を焼き、口を出すことは、暗に「あなたには、それをする力がない」「私はあなたの力を信じていない」というメッセージを送ることになり、子どもの自己肯定感を低下させます。

 

また、親がなんでも先回りしてしまうと、レジリエンス(困難やストレスに適応し回復する力)を育てることも難しくなります。

 

「子どもはまだわからない、できないことが多いから、親がやってあげるべき」と考える方もいますが、子どもは大人が思う以上に力があります。なんでもかんでも親がやってあげるから、「わからない」「できない」子に育ってしまうのです。親が子どもを信じてあげれば、子どもは力を発揮することができるのです。

 

もちろん、命に関わるようなことや社会や家庭内のルールは親が管理する必要があります。また、親がまったく手を貸さずに放置するのも適切な幼児期の子育てとは言えません。環境を整えなければ、子どもの才能を最大限に伸ばすことは難しいでしょう。

 

ポイントは、子どもをよく観察して、子どもが何を欲しているか、親の助けを必要としているかを見極めることです。