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法人に課される主要な税金:まずは全体像を把握する
会社設立後に支払う必要がある主な税金を理解しておくことで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。それぞれの概要と納期を確認しましょう。
(1)法人税
・概要:会社の利益(所得)に対して課税される国税。
・税率:中小法人の場合、所得800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%。
・納付期限:決算期末から2ヵ月以内。ただし、一定の理由があれば延長申請により1ヵ月延長可能。
(2)消費税
・概要:商品やサービスの提供に伴い発生する間接税。
・免税条件:資本金が1,000万円未満であれば、設立から2年間は免税事業者となることが多い。
・納付期限:決算期末から2ヵ月以内。
(3)法人住民税
・概要:法人の所在地に基づき自治体に納める税金。法人税額で変動する「法人税割」と、決まった金額の「均等割」が課される。
・均等割:
-資本金1,000万円以下:最低7万円。
-資本金1,000万円超1億円以下:最低18万円。
・納付期限:法人税の申告と同時。
(4)法人事業税
・概要:法人の所得に基づいて自治体に納める税金。
・税率:所得額に応じて約3.5%~7%(※資本金1億円以下の普通法人等の場合)
・納付期限:法人税と同時。
(5)源泉所得税
・概要:給与や役員報酬から控除され、国に納める税金。
・納付期限:原則として毎月10日まで。ただし、特例を利用すれば半年に1回の納付も可能。
税務トラブルを防ぐ準備:日々の管理がカギ
税務の失敗は、ペナルティや経営への悪影響をもたらします。次の準備を徹底しておきましょう。
◆スケジュール管理を徹底
税金ごとに納付期限が異なるため、リマインダーやカレンダーで管理することが重要です。
・法人税、住民税、事業税:決算後2ヵ月以内が基本。
・源泉所得税:毎月10日まで。半年分まとめる特例を利用する場合は1月と7月に納付。
◆会計ソフトの導入
クラウド型の会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)を導入すれば、日々の取引記録を効率化し、税金計算や申告書作成をサポートしてくれます。自動仕訳や税務書類の作成が容易になり、ヒューマンエラーを防ぐことが可能です。
◆税理士の活用
税理士は税務のプロフェッショナルです。次のようなサポートが受けられます。
・日常の経理処理や帳簿チェック
・法人税や消費税の節税対策
・確定申告書の作成と提出代行
納税資金の確保:運転資金と税金を分けて管理する
税金の納付は、事業運営において大きな資金負担となります。予算を確保し、適切に管理しましょう。
◆別口座で税金用資金を管理
特に消費税は、売上に含まれる「預かり金」の性質を持つため、他の資金と分けて管理することが推奨されます。
◆資金繰り表を活用
売上や経費、税金の支払いスケジュールを可視化することで、資金不足を防ぎます。
◆分割納付を検討
万が一、納税が困難な場合は、税務署に相談して分割納付を検討することができます。
税務申告でよくあるミスと解決策
◆課税事業者の選択届出を提出し忘れる
例)大きな設備投資を予定しているにもかかわらず、「課税事業者選択届出書」を提出し忘れ、仕入税額控除を受けられなかった。
⇒解決策:税務署からの通知や税理士との連携を活用し、適切なタイミングを把握しましょう。
◆遅延によるペナルティ
例)法人税の納付が遅れ、延滞税が課されてしまった。
⇒解決策:納税期限のリマインダーを設定し、計画的に準備しましょう。
◆過少申告
例)必要経費を過少に計上し、結果として課税額が増加した。
⇒解決策:帳簿を正確に記録し、専門家に確認してもらうとよいでしょう。
設立時に注意すべき税務ポイント
会社設立後の初期段階で、次の手続きを忘れないようにしましょう。
(1)青色申告の承認申請
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。節税効果を考えるなら、青色申告がおすすめです。
・期限:設立から3ヵ月以内、または事業年度末まで。
・メリット:30万円未満の資産を即時経費化、赤字の繰越控除など。
(2)消費税の課税事業者選択届出
設立初年度から課税事業者になることで、仕入れ時に支払った消費税を控除できる場合があります。
(3)源泉所得税の納付特例申請
従業員が少ない場合、給与の源泉税を半年に一度まとめて納付できる特例を申請できます。
基本的な税務知識を身につけ、申告漏れを防ぐ
税務知識を身につけ、適切な管理を行うことで、経営の安定とトラブル防止を実現できます。法人税や消費税、住民税など、それぞれの税金の種類と納期を把握し、スケジュール管理や資金繰りを徹底しましょう。会計ソフトや税理士を上手に活用することで、日常業務の負担を軽減し、経営に集中できる環境を整えることができます。
税務面での不安を解消し、健全な経営のスタートを切りましょう。
加陽 麻里布
司法書士法人永田町事務所 代表司法書士