夏のボーナスが大してもらえなかったので、FXに挑戦
石井さん(仮名)は某中堅メーカーに勤務する今年で入社3年目の若手男性社員です。年収は380万円程度。久しぶりに会った学生時代の仲間たちとの飲み会で友人から聞いたのは「FXは儲かる」という話です。
FXは「外国為替証拠金取引」のことをいいます。通常の外貨預金とは異なり、日本国内では証拠金の最大25倍まで(このように小さい資金で投資効果を上げ、さらに収益性を高めることを「レバレッジ」といいます)、より多くの外貨を購入運用することが可能となります。
その友人のケースでは、今年1月に50万円の証拠金を入れて、1ドル145円で5万ドル分買った米ドルを、4月に155円を超えたところで売却。「スワップポイント」と呼ばれる金利分とも併せて、わずか3ヵ月のあいだに60万円近く儲かったというのです。
夏のボーナスが期待していたようには支給されなかった石井さんは、さっそくFX口座を開設して証拠金として20万円ほど入れて、友人と同じく1ドル160円で2万ドル分7月頭に米ドルを購入しました。
FXで溶けた?
しかし、その直後から米ドルと円レートの為替は、日銀が長年続けてきた超緩和的な金融政策の見直しを示唆したこともあり、急激に円高に向かいます。強制ロスカットに遭い、わずか1週間で20万円の証拠金のほとんどを失ってしまいました。
「あっという間にお金が溶けて消えてしまうFXは恐ろしいギャンブルだ。高い勉強代を払う結果になったが、外貨投資なんてもうこりごりだ」石井さんは大きなため息をついて言います。
大切なのは「箱」になにを入れて、どのような運用方針を持つか
以上、投資に関しては初心者であった三浦さんと石井さんのこの夏の体験談を見てきました。では、2人のように、NISAやFXは本当に暴落したり溶けたりしてしまうのでしょうか? 結論をいえば、NISAにしてもFXにしても、それはあくまでお金を運用する便利な「箱」ということだけであって、「箱」自身は暴落もしなければ溶けもしません。その「箱」を正しく使いこなすことができなかったからといって、箱そのものを問題視することは間違っているでしょう。
ここまでの話で「NISAに関してはそのとおりだけどFXは投機、すなわちギャンブルだろう」と思われる人も多いかもしれません。しかし、大きな括りでみれば「使いこなせば便利な金融の箱」ということで同じだと筆者は考えます。