遅くに授かった子どもの教育資金準備
昨年初めての子ども(男の子)が産まれた、39歳の同い年三浦さん(仮名)夫妻。世帯年収は800万円ですが、妻は現在育休中です。年齢的にも掛けられる教育費的にも子どもは1人と決めていました。
孫の顔見せに実家へ帰省した際、「子どものために学資保険にはしっかりと入っていたほうがいい。毎月数万円程度ならば援助するぞ」と親から言われた夫。三浦さんの親からすれば初孫の誕生。できる限りの援助をしたいようです。しかし、会社で同じく最近子どもが産まれた同僚にも意見を聞いてみたところ、「そんなのは止めておいたほうがいい。節税効果もあるし、教育費目的でもいま始めるならば新NISAだよ」と言われました。
同僚の説明によれば、日本の金利水準の底打ちにより返戻金率が多少上がったとはいえ、学資保険は今後想定されるインフレにもおよばない可能性が高く、今年から始まった新NISAの積立投資枠を利用して全世界株式や米国株式に連動するインデックス型の投資信託を始めるべきだというのです。
親には学資保険に加入したことにして、三浦さんは4月から毎月3万円ずつ人気の米国株式連動型の投資信託を新NISAの積立投資枠を利用して購入しはじめました。
4月からその投資信託の基準価格は2万5,000円台から、2万6,000円台、2万7,000円台と順調に上昇していき、7月頭にはついに2万9,000円台にまで一気に達し、三浦さんは「NISAはすごい」と大興奮でした。
NISAが暴落?
しかしその後、マーケットの様相は一変します。米国でインフレ率が再び上昇しはじめ、FRBの高金利政策が継続するとの観測により、ハイテク株への売り圧力を含めて投資家心理は冷え込み、三浦さんが保有する投資信託の基準価格はわずか1ヵ月のあいだに2万5,000円台にまで一気に戻してしまいました。こうなると投資初心者の三浦さんは平常心を保つことができません。
「NISAが暴落した! もう二度と手を出さない!」と、せっかく始めた新NISAでの積立投資をわずか10数万円買い付けた段階で、数万円の損失を確定させ、やめてしまいました。