定年まで5年…大手建設勤務のサラリーマンが早期退職を決めた理由
全体の4割が「定年前」に辞めたいと思う一方で、全体の8割が定年後に不安を抱え、特に経済的な不安が大きいことがわかりました。
そんななか、55歳で早期退職の選択をした町田誠二さん(仮名・62歳)。30年以上、大手建設会社に勤務。60歳の定年まで勤めあげれば退職金は2,200万円程度受け取ることができ、老齢年金は基礎年金と厚生年金合わせて月18万円ほど受け取れるはずでした。安定した老後の生活が約束されていたにも関わらず、なぜ?
――前年に、仲のよかった同期が亡くなりました。自分もいつまでも生きられるかわからない……今後の人生について考えるきっかけになりました
あと5年勤めれば、安定した老後が手に入る。しかし人生の4分の3が終わろうとしているなか、先は決して長くない……熟考を重ねた結果、町田さんは早期退職を決意。結果、退職金は800万円ほど少なくなり、年金は月2万円ほどダウンする予測。安定した老後が遠のくことになっても、町田さんがしたかったこととは?
――ずっと海外ボランティアに興味がありました。ずっと土木関連で働いてきた経験が、途上国の発展に生かせるんじゃないかと
定年後に……と考えていましたが、さらに年を重ねて老後が目の前に迫っているなかでは、決断できないかもしれない。また2人いる子どもはどちらも社会人となり、教育費の心配はもうない。「タイミング的にいまがベスト」と考えるようになり、決断に至ったといいます。
ところがひとつ問題が。家族への説明です。以前から海外ボランティアに興味があることを伝えていましたが、まさか早期退職までして実現させようとは思っていないでしょう。「あと5年、定年までは頑張れば」と反対されると考え、町田さん、家族には言わずに会社を退職。海外ボランティアに応募し、派遣先も決まったところで打ち明けたといいます。
――お父さん、会社辞めた。ちょっとアフリカに行ってくる
そんな告白を突然された家族。その時の反応は?
――元来、私は石橋を叩いて渡るような性格。そんな私が予期せぬ行動を取ったものだから、妻も子どもも口をパクパクさせていました。「う、うそ」というのが精いっぱいだったみたいです(笑)
2年間、アフリカでボランティアに従事したあと、その経験を活かし再就職。いまも途上国の発展に寄与するプロジェクトに関わっているとか。
――わたしが仰天行動に出たことが良かったかもしれません。妻も「私は私でやりたいことをやるわ」と楽しそうにしています
[参考資料]