いつかは誰もが直面するだろう親の死。それに伴い、必ず相続が発生します。相続ではお金はもちろん、いろいろな感情が絡み合い、トラブルに発展することも珍しくはありません。特に将来の相続に対し「新たな登場人物」の存在は、トラブルの火種になりがちのようです。
騙されるな、おやじ!南国帰りの〈商店街理事長・75歳父〉の告白に〈3人の息子・娘〉が仰天。「目を覚ませ」と必死に説得する相続事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

海外旅行のお土産を渡されるのと同時に、75歳父、衝撃告白

そんな真さんには3人の子どもがいました。愛妻を亡くしたのは子どもたちが皆、社会人、大学生となったタイミング。「家のことは何もできないから、子どもたちが小さいころに妻が亡くなっていたらエライことになっていた」と真さん。愛妻は亡くなるタイミングにも気を遣っていたのかな……と振り返ります。

 

また子どもたちにジリ貧の服飾店を継がせるようなこともなく、一方で“稼いでくれるビル”を遺すことができ、「もう心残りはない。まだまだ生きるけど(笑)」と真さん。

 

ビル5棟のうち2棟は売却し、税金の支払いなどにあて、残るビルは子ども1人に1棟を遺す……これが万一のことを考え、すでに作成した遺言書の中身でした。

 

将来に関しても、全方向的にパーフェクト。そう誰もが思っていましたが、ある日、そんな安定が覆ることがおきます。真さんの呼びかけで、3人の子どもたちが実家に集合したときのこと。真さんは「この前、海外に行ってきたからお土産」と、子どもたちにお土産の入った袋を渡します。商店街仲間と年に何回か旅行に出かけていることを知っていた子どもたち。てっきりいつものだと思い込んでいましたが、ここで真さんが衝撃的な告白を始めます。

 

――実は再婚しようと思っている

――45歳年下のフィリピーナ

――向こうの家族に挨拶に行ってきたんだ

 

「うっ、嘘だろ、おやじ。45歳年下ということは……30歳!?」と明らかに狼狽する長男。弟や妹の顔も驚きの表情を浮かべます。

 

――こんな冗談あるか

――あと連れ子がいる

――上から12歳、10歳、5歳……仲良くしてやってくれ

 

母(真さんの妻)が亡くなり、ずいぶんと経ちますし、真さんもいい大人。親の新たな門出に、本来であれば反対などしません。しかしあまりの歳の差に、子連れの外国人……子どもたちも口を出さずにはいられません。

 

――騙されるな、おやじ!

――冷静になれよ、45歳も年下だぞ

――そうよ、目を覚まして!

 

 

警察庁『令和6年9月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』によると、SNS型ロマンス詐欺は今年1~9ヵ月で認知されているだけで2,570件、被害額は約271.0億円に達し、昨年から大きく件数も被害額も増えています。

 

このような事情があるだけに、どんなに「詐欺!? そんなわけ、あるわけがなかろう(笑)」と父が自信を覗かせたところで、子どもたちは簡単に信じることはできません。また相続に大きく影響するだけに、父の幸せを単純に祝うことなど、子どもたちにできるわけがありません。