いつかは誰もが直面するだろう親の死。それに伴い、必ず相続が発生します。相続ではお金はもちろん、いろいろな感情が絡み合い、トラブルに発展することも珍しくはありません。特に将来の相続に対し「新たな登場人物」の存在は、トラブルの火種になりがちのようです。
騙されるな、おやじ!南国帰りの〈商店街理事長・75歳父〉の告白に〈3人の息子・娘〉が仰天。「目を覚ませ」と必死に説得する相続事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

相続の際、「再婚する妻の相続分」をできるだけ少なくするには

相続トラブルに発展しやすいパターンのひとつに「再婚」が絡むものがあります。

 

民法で相続人となることができると定められた相続人を法定相続人といい、配偶者と血族に分かれます。そのうち配偶者は何があろうと相続人となります。血族には優先順位があり、第1順位は子ども、第2順位は親、第3順位は兄弟姉妹。第1順位がいなければ第2順位、第2順位もいなければ第3順位が相続人となります。

 

配偶関係になければ相続人にはなれないので、離婚した場合、元妻には相続権はありません。しかし元妻との間に子どもがいれば、その子どもたちは相続人になります。

 

同じように再婚した際、新しい妻には相続権がありますが、その連れ子には相続権はありません。ただ養子縁組などをした場合は実子と同じように相続権を持ちます。

 

今回の事例では、真さんの再婚前の状態では、相続人は3人の子どもたち。遺産配分は1/3ずつとなります。再婚したらどうでしょう。新しい妻は遺産の1/2。子どもたちは残りの遺産を3等分、つまり遺産の1/6ずつとなります。さらに連れ子と養子縁組した場合、血族と同じ扱いとなるので新しい妻は遺産の1/2。子どもたちは残りの遺産を6等分、つまり遺産の1/12ずつとなるわけです。

 

再婚するかどうかは父の自由とはいうものの、相続が発生した際には受け取る遺産が大きく減るかもしれないので、簡単には承諾できるものではないでしょう。また事例のように詐欺を疑うのも無理のない話です。

 

再婚は仕方がないにしろ、新しい妻の取り分をできるだけ下げたいというなら、改めて遺言書をつくってもらうのも手。その際、気を付けたいのが遺留分。これは相続の際に最低限もらえる取り分のことで、法定相続分の半分が認められます。

 

事例であれば、新しい妻の取り分は1/4まで下げ、残り3/4を子どもたちで分割するようにはできるということ。遺留分を侵害した遺言書は新しい争いの火種になりかねないので、気を付けたいところです。

 

[参考資料]

警察庁『令和6年9月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について』

法テラス『法定相続人とは何ですか。』

法テラス『遺留分の相続財産に対する割合はどうなっていますか。』

法テラス『遺留分侵害額請求とは、どのような請求ですか?』