いつかは誰もが直面するだろう親の死。それに伴い、必ず相続が発生します。相続ではお金はもちろん、いろいろな感情が絡み合い、トラブルに発展することも珍しくはありません。特に将来の相続に対し「新たな登場人物」の存在は、トラブルの火種になりがちのようです。
騙されるな、おやじ!南国帰りの〈商店街理事長・75歳父〉の告白に〈3人の息子・娘〉が仰天。「目を覚ませ」と必死に説得する相続事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

駅前にビルを5棟所有する、地元では有名な不動産王

駅前商店街を中心にビルを5棟所有する山田真さん(仮名・75歳)。元々は先代が紳士服専門店を創業。2代目の真さんは事業を拡大し、婦人服専門店、子ども服専門店など、駅を中心に5つの服飾店を経営していました。しかしバブル崩壊あたりからビジネス環境は一変。ファストカジュアルの台頭などもあり、徐々に客足は鈍っていったといいます。

 

ちょうど3~4階建てだった店舗も古くなり建て替えのタイミング。そこで5つの店舗を一気に閉店し、8~10階建てのビルに建替え。1~2階は店舗ですべてテナント貸し。2~3階以上は貸事務所や賃貸マンションという構成にして、業態を一気に不動産会社へと変更したところ大成功。どのビルも駅チカということもあり常に満室経営が続いていました。

 

不動産会社といっても管理等はすべて外部に委託していて、実質、単なる資産管理会社。特に仕事をすることなく、50代にして悠々自適な生活。その代わりに熱を上げていたのが商店街活動。若くして理事長に就任し、それまで秋に1回だった商店街の祭りを春・秋の年2回に。スタンプラリーを企画したり、日曜日には歩行者天国にしてみたりと、商店街振興に尽力。不動産王にして名物理事長と、地元ではちょっとした有名人になったといいます。

 

商店街振興にのめり込んだのは、ただ暇だったからだけではありません。不動産会社へと業務転換し、成功が見え始めていたころ、結婚25年の愛妻を亡くした真さん。心にぽっかり空いた穴を埋めるために忙しくしていようと、商店街活動に力を注いだのでした。