認知症患者の金融取引は成年後見制度の利用を原則とする
このように、認知症が進み、判断の能力が低下している場合、家族であっても銀行口座から自由にお金を引き出すことができなくなります。
全国銀行協会が2021年2月18日に発表した高齢者や親族による金融取引の考え方によると、
・認知判断能力の低下した本人との取引においては、顧客本人の財産保護の観点から、親族等に成年後見制度等の利用を促すのが一般的
・成年後見制度等の手続きが完了するまでの間など、やむを得ず認知判断能力が低下した顧客本人との金融取引を行う場合は本人のための費用の支払いであることを確認するなどしたうえで対応することが望ましい
としています。認知症高齢者との金融取引の基本は成年後見制度の利用を原則としていますが、生活費を引き出すためだけに制度を利用し、報酬を払い続けるのも考えもの。制度の利用者が24万人ほどにとどまっているのも納得です。
そのため認知症患者の家族による預金引き出しルールとして、一定の要件を満たすことを条件に認める指針を示しました。いずれにせよ、家族の判断で自由に引き出せるわけではないので注意が必要です。
[参考資料]
内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)』
一般社団法人全国銀行協会『金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)』