(※写真はイメージです/PIXTA)
80歳になった健一さんの父親。認知症となり施設に入ることになり、父の財産は成年後見人が管理することになったのです。健一さんがいつものように年金振込日にお金を下ろそうと銀行に行くと、キャッシュカードが使えず、窓口に詰め寄ると、「申し訳ありませんが、ご家族では対応できません」とひと言。「えっ、私は息子ですよ」と言い返すも、「後見人が付いてキャッシュカードが利用できなくなっているんです」という説明。
――畜生!
怒りのあまり声を荒らげてしまったという健一さん。父親の年金や貯金があてにならないなら、自身の貯金を取り崩していくしかありません。「父親が死んでくれたら……」そんな恐ろしい考えがよぎることもあるといいます。
成年後見制度は、「精神上の障害により判断能力が不十分であるため法律行為における意思決定が困難な方々について、本人の 権利を守るために選任された援助者(成年後見人等)により、本人を法律的に支援する制度」(厚生労働省資料より)。法定後見制度の申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長などで、本人の判断能力に応じて「後見」、「保佐」、「補助」の 3つの制度があります。
成年後見制度の利用者数は、令和5年12月末時点で24万9,484人。認知症患者の増加に伴い、右肩上がりです。また親族が成年後見人等となるのは全体の約18.1%。弁護士や司法書士、社会福祉士などの士業がなることが多いのが現状です。
この制度は本人の財産を守るための制度のため、家族が自由に財産を管理・運用・処分できず、不便を被るのも事実。専門家が成年後見人となると毎月2万~6万円程度の報酬の支払いが発生。また成年後見制度を利用すると、本人の判断能力が回復したと認められない限り、制度は途中でやめられません。つまり報酬は本人が亡くなるまで支払い続けなければなりません。