キャッシュレスが進み、高齢者のなかにも「現金はあまり持ち歩いていないの、どこもキャッシュレスだっていうから」という人も。そこで気を付けたいのが、何にどれだけ使ったかという意識が薄れていること。知らぬ間に、とんでもない事件に巻き込まれている可能性も。
〈年金14万円〉〈貯金800万円〉72歳の高齢女性、預金残高にため息も、ふと気づいた違和感。知らぬ間に巻き込まれていた驚愕事件に「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

あれっ、引落し額が多いような…クレジットカード少額の不正利用が多発

カード利用の引き落としがあるのは、老後資金のための貯金のある口座から。

 

――直近で記帳した際には800万円くらいだったかな。来月、引落しがあったら、800万円を割り込んじゃうかな……

 

ため息がいっそう深くなったという野村さんですが、ふと気づいたことがあったといいます。

 

――なんか、引落し額が多いような

 

普段はざっくりとしか見ない引落し額でしたが、その月は先に引落し額を確認してから通帳記帳をしたそう。すると、数万円の誤差があることが判明しました。

 

――何に使ったんだろう

そう思い、カード明細を久々にみたといいます。「最近はなんでもオンラインになっちゃったから。いつでも見られますよ、というんだけど、私たち世代だとインターネットに苦手意識があるから、見なくなっちゃうのよね」と野村さん。そこで確認すると、見知らぬ引落しが……しかも1万、2万円くらいの引き落としが定期的に繰り返されていました。

 

――なにこれ……

 

野村さんがこの引落しが不正利用だと気づくのには少々時間がかかったといいます。最近、老若男女でネット通販を利用する機会が増えたことで、クレジットカード利用も増えています。それに伴い、カードの不正利用も増加傾向にあり、注意が呼びかけられています。

 

クレジットカードの不正利用に関しては、確認が取れればカード会社が全額補償してくれます。しかし、補償については時効があることに注意が必要。時効までの期間は会社によって異なりますが、不正利用の申告をした日から遡って「60日」とするケースが多いようです。

 

高額の不正利用であれば気づきやすいものの、最近増えているのが野村さんのように少額の不正利用が長期間に渡り行われているというケース。少額のため気づきにくく、知らぬ間に時効を迎えてしまい、泣き寝入りするしかありません。野村さんの場合、不審な引落しが始まって半年くらい経ってから気付いたため、4ヵ月分はどうしようもないといいます。

 

ついつい見なくなってしまうカードの利用明細。いま一度、毎月チェックする習慣をつけたほうがよさそうです。

 

[参考資料]

総務省統計局『小売物価統計調査』

独立行政法人国民生活センター『不正利用かも!? 利用明細は必ず確認』