理子さんが「FIRE生活」を選んだ切実な事情
「智也さん、彼女をどう思いますか?」
「なんていうか、平和というか、穏やかというか、〝精神的に豊か〟ってこういう感じなのかなぁって思うな。なんか憧れちゃうけど、逆に自分がこの暮らしをずっとできるかと聞かれたらできないかも……」
「そうですよね。あまり一般的な暮らしとは言えませんね」
「言い方悪いかもしれないけれど、仙人みたいじゃない? 欲とかないのかな?」
「理子さん、昔はすごくよく働く方だったんです」
「へえ、なんか意外だなぁ」
のんびりとした、穏やかな様子の彼女がバリバリと働いているというのは、想像がつかなかった。
「彼女はとにかく周りの期待に応える方でした。いつだって人からどう思われるかを気にしていて、親の目や先生の目を気にして進路を選び、周りが立派と言う会社に就職し、会社でも上司や同僚からの視線ばかり気にしていました。幸い能力が高い方だったので、それでもうまくやれていたのですが、そんなふうに誰かの期待に応え続ける日々を忙しく駆け抜ける中で、彼女は気づいてしまったんです。〝わたし、なんのために生きてるんだろう?〟って」
なんだかわかる気がする。親の反応や、世間体を気にして就職活動をしていた頃の記憶が蘇った。
「そうして理子さんはある日プツンと糸が切れたように、会社に行けなくなってしまい、退職をしました。元から全然お金を使わない人だったので、ハードワークの甲斐もあり、たくさんのお金が手元に残っていました。そのほとんど全てを高配当株に回して、地方都市の外れに引っ越してFIRE生活をしています」
「それはまたすごいな。でもさ、こんな暮らしって虚しくならないのかな?」
「では、実際に彼女の心情を聞いてみましょうか」
彼女の心の声が、自分のことのように聞こえてきた。
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